【NIKKE】Good World【Part 2】

前回の続きですヾ(・ω・*)
前回のお話はコチラ→【NIKKE】Good World【Part 1】

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優しいおともだち:A

「ごめんなさい。お待たせしちゃいましたね」

シラツルは、自分の帰りが遅くなったせいで大騒ぎになっていたと知り、申し訳なさそうに頭を下げました。

「その代わり……ジャジャ~ン!」

そう言うと、ピンクのリボンがついたクマのぬいぐるみを、優しい笑顔で女の子へ差し出します。

「約束通り、クマちゃんを見つけてきました~」

女の子は目を輝かせながら、クマのぬいぐるみを抱きしめるように大切に受け取りました。

その様子を見て、指揮官が思わず口を開きます。

「まさか、友だちというのは……」

続けて、ミランダも驚いたように声を漏らしました。

「クマさんのことだったのですか?」

少女はクマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめながら、満面の笑みで答えます。

「うん! そうだよ!」

「てっきり、ご友人だと……」

ミランダは驚きを隠せない様子で、小さく呟きました。

「クマちゃんは友だちだよ!」

少女にとって、そのクマのぬいぐるみは本当に大切な友達なのだろう。
ミランダの言葉を否定するように、必死な声で訴えかけます。

「そ、そうですね……」

ミランダはクマのぬいぐるみを見つめながら、何とも言えない表情を浮かべていました。

「ところで、今から捜すつもりだった子は、どのような子ですか?」

シラツルは微笑みながら、穏やかな声で尋ねます。

「その、白いお姉さんを捜しに行くところでした!」

ミランダはクマのぬいぐるみから視線を移し、シラツルを見ながら答えました。

「まあ? 私を探しに?」

シラツルは不思議そうに首を傾げます。

「ああ。なかなか戻ってこないから、迷子になったのかと思ったんだ」

事情を把握していないシラツルに、指揮官は単刀直入に説明しました。

それを聞いたシラツルは、申し訳なさそうに遅くなった理由を話します。

「久しぶりにアークを歩いたからか、道に迷ってしまって……遅くなってしまいました」

「久しぶり……?」

その言葉に、指揮官は小さな違和感を覚えました。

ニケは基本的にアーク内、もしくは一部例外を除いて前哨基地で生活しているはずだからです。

「では、ご友人も無事に発見できましたし、私はこの子を警察署へ送り届けてきますね!」

指揮官が考え込んでいることなど気にしていないのか、ミランダはいつものマイペースな調子で話します。

「ああ、後のことは頼んだ」

指揮官は、シラツルへの違和感について考えるのをひとまず後回しにしました。

「白いおねえさんと、おにいさん、バイバ~イ!」

女の子はクマのぬいぐるみを大切そうに抱えながら、満面の笑みで手を振ります。

「おちびちゃんも、気をつけて帰ってくださいね~」

シラツルも優しく微笑み返し、少女たちを見送ります。

やがて、ミランダと女の子がその場を離れ、残されたのは指揮官とシラツルの二人だけになりました。

シラツルは小さく息を吐きます。

「ふう……ぬいぐるみを捜すのに、こんなに時間がかかるとは思いませんでした」

そして、指揮官へ視線を向けると、柔らかく微笑みました。

「おちびちゃんをなだめながら待っていてくださったんですね。ありがとうございました」

「いや、礼を言われるほど大したことはしていない。こちらこそ礼を言わせてくれ。ありがとう。子どもの扱いに慣れているんだな」

指揮官は改めてシラツルを見つめます。

これまで数え切れないほど多くのニケと出会ってきた指揮官でしたが、シラツルという存在には覚えがありませんでした。

「子どもって純粋なので、大好きなんです。君のように優しいおともだちのことも」

シラツルは、指揮官を見つめながら穏やかに微笑みます。

そして、何かを思い出したように話を続けました。

「ふふ。ところで……」

シラツルは、じっと指揮官の顔を見つめます。

「……なぜそんなに見つめるんだ?」

指揮官は不思議そうに首を傾げました。

そんな彼を見て、シラツルは安心したように笑います。

「いえ、すっかり目が覚めたようで安心しました。ブランケットを買って戻ろうとしたんですが、久しぶりだからなのか……アークが随分変わっていまして」

シラツルは申し訳なさそうに話を続けました。

「それで、ちょっとしたトラブルがあって。ブランケットは買えませんでした。ごめんなさい、寒かったでしょう?」

「!!」

その言葉を聞き、指揮官はベンチで眠っていた時のことを思い出します。

そして、鶴の描かれたハンカチをシラツルへ差し出しました。

「あら、そうです~。捨てずに持ってきてくれてありがとうございます」

「このハンカチのおかげで、日差しをしのげた。ありがとう」

「どういたしまして~」

シラツルは微笑みながらハンカチを受け取ると、丁寧にポケットへしまいました。

その後、改めて指揮官を見つめ、柔らかな声で言います。

「改めて、私はシラツルと言います。優しいおともだちは、もしかして特殊別働隊の指揮官でしょうか?」

「私を知っているのか?」

「もちろんですよ~。テレビで何度も見ましたから。駐屯地01という、地上の一部を奪還した英雄だって!」

「その話がテレビで流れていたんだな」

「ふふ、そうなんです~。長い間、誰もが夢見てきたことを実現したんですから。……と、いうことで~」

そう言うと、シラツルは指揮官の目の前まで歩み寄り、見上げるようにじっと顔を見つめました。

「どうしたんだ?」

「その~、このままだとどうしても無理なので。すこ~しだけ、頭を下げてもらえますか?」

「頭を?」

「はい、ほんの少しだけ」

指揮官は不思議に思いながらも、言われた通り少し頭を下げます。

「ふふ、いい子ですね~」

シラツルは、優しく彼の頭を撫で始めました。

「!!」

「地上の一部を奪還するという、今まで誰にもできなかった、すばらしいことを成し遂げるなんて~」

シラツルは、ゆっくりと頭を撫でながら続けます。

「と~っても立派ですね~! よくできました~!」

「あ、ああ……」

指揮官は少し困ったように返事をしました。

「ふふ、ほめほめタイムおしま~い」

シラツルは満足そうに笑いながら、ゆっくりと手を下ろします。

「頭を下げてくれて、ありがとうございます。あのニュースを見た日から、ずっとやりたかった“なでなで”を思うぞんぶんできました~」

「そ、そうか……」

指揮官は気まずそうに言葉を返しました。

「あらら……? ごめんなさい。ビックリしましたよね? 気を悪くしましたか?」

「いや……そんなことはないが。なんというか、子どもになったような気分だった」

「ごめんなさい。あの幼かった子が、こんなに立派に育ったなんて……もう、嬉しいやら誇らしいやらで……。思わず撫でてしまいました」

「だが、今はすっかりいい大人だから、さすがに恥ずかし――」

そこで指揮官は、シラツルの言葉に強い違和感を覚えました。

……待ってくれ。今、妙なことを言わなかったか……?

指揮官は再びシラツルへ視線を向けます。

「ふふ、そんなに恥ずかしがらないでください。すばらしいことをした時は、大人でもきちんと褒められるべきですから」

シラツルは穏やかに微笑みながら言いました。

「……その、今、なんて……?」

「えっ?」

切羽詰まった様子の指揮官とは対照的に、シラツルは不思議そうに首を傾げます。

「ええと……大人でも褒められるべきですよ~、と……」

彼女は先ほどの言葉を繰り返し、それから心配そうに尋ねました。

「私、何か変なことでも言いましたか……?」

「いや、そういうわけではないが……」

指揮官が続きを言おうとした、その時。

「……あっ! いけない。こんなことをしてる場合じゃありませんでした。あの、いま何時でしょうか?」

指揮官は携帯端末を取り出し、時間を確認します。

「午前……11時20分だ」

「まあ……!」

シラツルは驚いたように声を上げ、慌ただしく言いました。

「このままじゃ遅刻してしまいます。ごめんなさい、そろそろ行きますね。会えて嬉しかったです、それでは~」

「えっ、ああ……」

シラツルは公園の入口へ向かって走り出しました。
しかし突然立ち止まり、きょろきょろと辺りを見回し始めます。

「??」

指揮官は、その様子を不思議そうに見つめました。

やがてシラツルは、再び指揮官のもとへ戻ってきます。

「あの……おともだち。本当に申し訳ないんですが……鉄道駅の場所を教えてもらえますか? この辺り、地図がどこにもないんです!」

「……ん? 地図?」

「最近の人たちは、地図を見ないんですね。道をちゃんと覚えているなんて、みんな賢くて驚きました~」

シラツルは感心したように微笑みます。

「……その、携帯で地図を見ればいいだろう?」

指揮官は当たり前のように答えました。

「えっ? 携帯に地図があるんですか?」

シラツルはポケットを探り、携帯端末を取り出します。

「この小さなものの中に……? どこに地図が?」

彼女は携帯を裏返したり、斜めにしたりしながら、一生懸命“地図”を探していました。

「…駅まで案内する…」

見かねた指揮官は、シラツルを駅まで案内する事にしました。

優しいおともだち:B

駅へ到着したシラツルは、見慣れない景色にきょろきょろと辺りを見回しました。

「わあ~、ここが鉄道駅ですか!一人だったら、ここまで来るのにかなり苦労したかもしれませんね~」

シラツルは、ここへ来るまでの道のりを思い返します。

「こんなに道が複雑になっているなんて、 思いもしませんでした」

そう言って、少し複雑そうな表情を浮かべました。 そして、指揮官へ視線を向けると、ふわりと微笑みます。

「おともだちは道にも詳しいんですね。 カッコいいです~。案内してくださって、ありがとうございました」
「どういたしまして」
「えっと…ところで…」

シラツルは、列車の時刻表が表示された電光掲示板へ視線を移し、困ったように呟きました。

「たくさん列車が走っているんですね。ここに行くにはどの列車に乗ったらいいかしら…」
「どこに行くつもりなんだ?」
「えっと…確か、ロイヤルロードにある…。アンダーグレイスというお店だったと思います」
「住所はわかるか?」
「ええ、もちろんです~。ちゃ~んとこちらに…メモをしておいたので~」

そう言って、シラツルは小さな手帳を取り出しました。

「はい、ここにあります~」
「見てもいいか?」

手帳の中には、三つの住所が書かれていました。
指揮官はその中の、一番上に書かれた住所を指差します。

「ロイヤルロードにあるデパート内のようだな。なら、1番ホームに来るロイヤルロード行きに乗ればいい」

それを聞いたシラツルは、ぱっと表情を明るくしました。

「まあ、おともだちって、本当に物知りなんですね!」

シラツルが微笑むたび、青みがかった髪飾りと耳元のピアスが、さらりと揺れます。

「これくらいは誰でも…」
「ふふ、賢い子ですね~」

シラツルは指揮官の背中をぽんっと軽く叩きました。

「また子ども扱いか…」

指揮官は少し不満そうに呟きます。

「だって、褒められることをしましたので~」

シラツルはまったく気にした様子もなく、穏やかに笑っていました。

「助けてくださって、ありがとうございます。それじゃ、また会いましょうね〜」

そう言うと、シラツルは足早に前へ進んでいきます。 まだその背中が見えているうちに、指揮官はふと考え込みました。

(…このまま何も聞かずに、シラツルを見送っていいのだろうか?)

「やはり、電話番号だけでも…!」

思い立ったように顔を上げ、シラツルの向かった先を見ました。
すると、彼女はまたきょろきょろと辺りを見回したかと思うと、今度は再び指揮官の方へ戻ってきました。

「おともだち、大変です!」
「今度はどうしたんだ?」

指揮官は苦笑しながら尋ねます。
ここへ来るまでの間も、シラツルは見るものすべてに興味を示していたのです。

「切符を買うところがありません!」
「ん…?」
「切符がないと乗れないのに、 どこで買えばいいんでしょう…?」

シラツルは困ったように、指揮官を見上げます。

「おともだちは、ご存じですか?」
「AZXの利用は無料なんだ…。公共サービスだから」

シラツルは驚いたように目を見開きました。

「まあ、そうなんですか?そんなすばらしいサービスができていたなんて~!アークの発展は、本当にめざましいですね~」

感心した様子で、また嬉しそうに微笑みます。

「では、このままブラットホームに行って列車に乗ればいいんですね?」
「ああ、そうだが…。1人で大丈夫か?」
「う~ん。ちょっと不安ですけど、 周りの人に聞いたりすればなんとかたどり着けると思います。」

しかし、ここまでのシラツルの様子を見ていた指揮官は、どうしても不安を拭えませんでした。

「私が送っていこう」
「えっ?おともだちは、忙しいでしょう?」
「今日は何の予定もないから、大丈夫だ」
「でも…」

煮え切らない返事をするシラツルを見て、指揮官は提案します。

「私が同行できない事情があるなら、 近くまで送るだけにするが…」
「いえ、違うんです。一緒にいくのは、まったく問題ありません」

シラツルはそう言って、やわらかく微笑みました。

「会って、手紙を渡すだけなので…。おともだちが一緒でも、 あの子たちは気にしないと思います」

どこか懐かしむように、目を細めながら続けます。

「みんな、いい子たちなので。ただ、おともだちに助けてもらってばかりで申し訳なくて…。ここに来れたのも、おともだちの案内のおかげですし」

「道に迷っている人がいたら、当然──」

「おともだち」

シラツルは、指揮官の言葉をそっと遮りました。

「この世に当然なことなんてありません。そこにあるのは、自分で考えて、 選択したということだけです」

そう言って少し考え込むと、優しい声で続けます。

「そうですね~…じゃあ、こうするのはどうでしょう?私の用事が終わったら、助けてくれたお礼として、私の叶えられる範囲でおともだちの望みを1つ聞いてあげます」

「…望みを?」

指揮官は不思議そうに聞き返しました。

「はい、別に今日じゃなくてもいいですよ。おともだちと私で、『契約』を交わしましょう」

契約”という言葉をあまりにも自然に使うシラツルに、指揮官の表情がわずかに硬くなります。

「いや、そこまでする必要はないと思うが…」
「あら、ごめんなさい。普段、契約を管理する仕事をしているので、 負担になる言い方をしてしまいました」

シラツルは苦笑いをしました。

「契約を管理する仕事…」
「じゃあ、『約束』しましょうか?」

彼女は柔らかく微笑みながら続けます。

「必ず守らなければいけないのは契約と同じですが、こちらのほうが負担が少ないでしょうから」

指揮官は無言のまま、シラツルを見つめました。

(…正直、あの言葉を聞いていなかったらおそらく断っていただろう)

──あの幼かった子がこんなに立派に育ったなんて、 もう嬉しいやら誇らしいやらで…。思わずなでてしまいました。

(「あの幼かった子」…。きっとシラツルは、私の過去を知っているはずだ。なんとしてでも聞き出さなければ)

(そうすれば、私の知らない“過去の自分”も…。あの“プロジェクト”についても、 知ることができるかもしれない)

考えをまとめた指揮官は、もう一度シラツルを見ます。 シラツルは何も言わず、ただ穏やかに微笑んでいました。

「どうかしましたか?」

返事がないことを心配したのか、シラツルは不安そうに尋ねます。

「もしかして、約束でも負担でしょうか?」

少し困ったような顔をするシラツルに、指揮官は静かに首を振りました。

「いや、約束しよう。私も…少し聞きたいことがある」
「あら、そうなんですか?ならよかったです~」

シラツルは優しい笑みを向けます。

「それでは~。約束、です。用事が済んだら、おともだちの望みを叶えてあげますね」
「ああ。よろしく」

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