【NIKKE】Good World【Part 7】
前回の続きですヾ(・ω・*)

いい人たちが作る世界:A
シラツルはまるで昔話を語るかのように、優しく微笑みながらゆっくりと話し始めました。
「むか~しむかし、ラプチャーが地上に侵攻してきた頃に、ラプチャーと戦うために結成された『人類連合軍』と、宗教組織でありながら優れた科学技術を持つ『V.T.C.』が暮らしていました。その二つの勢力は力を合わせてラプチャーと戦いましたが、結局、人類は負けてしまいました」
そこまで話すと、シラツルは少しだけ寂しそうな顔をしました。
「そしてアークへの移住を決めた時、人類連合軍はある大きな決断をしました。アークを住みやすい街にするために、自分たちに足りない技術力を確保しようと……」
少し間を空けると、シラツルは静かに話を続けました。
「V.T.C.と統合し、『中央政府』というアークを統括する新たな組織へと生まれ変わることにしたのです」
指揮官はシラツルを見つめながら言葉を口にしました。
「その時に中央政府となったのか」
「はい。多くの人は、利権争いが原因だと思っていますが……」
シラツルは言いにくそうに言葉にします。
「自分たちの力だけでラプチャーに勝つことは不可能だと判断したからではないかと……私はそう考えています」
「そして、その契約が交わされる場で──」
シラツルの顔が真剣になり、慎重な声になりました。
「二つの勢力は、統合する代わりに互いに条件を出し合いました」 「条件?」
指揮官は不思議そうに聞き返しました。
「ええ。V.T.C.からの条件は、地上で行っていた研究をアークでも続けられるよう……。ミシリス・インダストリーと協定を結び、M.M.R.という独自の研究所を持つこと」
指揮官はシラツルの言葉を静かに聞いていました。
「人類連合軍からは『人類のための技術』を作るために、V.T.C.の『奇跡』を提供するように求めました」
「人間に……役立つ技術?」
指揮官にとって、それは知らない情報でした。
「はい」
シラツルは申し訳なさそうな顔をしましたが、話を続けました。
「その他にも、たくさんの条件がありましたが、いま私からお話しできる重要な条件は、その二つだけです」
「環境の静けさの中、各勢力の代表が集まる場で、契約書に次のように明記しました」
「契約の証人となるために存在する、我々『ヴェイルド・オーダー部隊』の監視の下、二つの勢目のうち、いずれか一方でも上記の内容に違反した場合は、武力による制裁が下されると」
「!!」
指揮官はシラツルの顔を信じられないといった様子で見ました。
「まさか……シラツルもその契約の証人だったのか?」
シラツルはゆっくりと目を閉じました。
「はい」
そして、ゆっくり目を開けると指揮官に眼差しを向けて話します。
「契約の証人兼、監視役としてその場を見守っていました。それが、今まで地下で暮らしていた多くの理由のうちの一つです」
「……そうだったのか」
指揮官は自分の手元に視線を落としました。
「その後、『人類のための技術』として『あの方』が自らを実験体に差し出しました。その見返りにM.M.R.へ研究を依頼して始まったのが、まさに君たちの知りたがっている『プロジェクトA.D.』なのです」
「あの方……?」
指揮官はシラツルに尋ねました。
「……あの方は、本気でよりよい世界を作ることを夢見ていて──アークがその始まりとなるよう、絶えず尽力していました」
「プロジェクトA.D.も、そのうちの一つでした」
シラツルは何かを思い出したかのように話します。
「……あっ!そういえば、他にもプロジェクトA.D.に関するものがありましたね!」
シラツルは指揮官に微笑みました。

「今日、おともだちも、その名前をたくさん聞いたはずです」
「今日、たくさん聞いた?」
指揮官は分からないというように静かに首を振りました。
「人間の寿命を延ばす奇跡の薬……」
──エターナルライフ
シラツルは静かに言いました。
「!!」
驚いた指揮官を見ながら、シラツルは話を続けました。
「エターナルライフの量産化に成功したのも、あの方がプロジェクトに関わり、成し遂げた功績です」
指揮官は呟くように静かに言いました。
「エターナルライフが、プロジェクトに関係していたとは……」
シラツルは遠い昔を思い出すかのように微笑んで話を続けました。
「あの方は、本当に優しい人でした。プロジェクトA.D.だけではなく、今日、おともだちが一緒に見届けてくれた『契約』も、あの方がアークのために行ってきた善行のひとつなんです」
「……あの『財団』のことか?」
「ふふ、そうです」
シラツルは満面の笑みで話しました。
「アークにやってきた孤児たちを守り育てるために、自らの財産を投げ打って『財団』を作り、子どもたちの支援をしていたのです」
「子どもたちが支援を当然だと思って怠けたり……。強欲な者たちにお金が流れ、子どもたちに支援が行き渡らないことがないように」
「財団が私と『契約』を結び、子どもたちにアークの移り変わりを書いた『手紙』を私に毎年送らせるようにしたんです」
「支援金が不正に使われたら、制裁を下すことができるようにしたのか」
「その通りです」
微笑みながら指揮官を見つめていました。
「その話を聞くに、ずいぶんといい人のようだな」
「はい」
シラツルはアークの街並みを見ました。
「本気でいい世界を作るために自分のすべてを捧げられるような……すばらしい方でした」
そして、指揮官を見ます。
「他の人の意見は分かりませんが、少なくとも私はそう思っています。
そして、静かな声で指揮官に話しました。
「……ですので、プロジェクトA.D.というのは、そんな立派な方が、いい世界を作るために築いた礎の一つだったと……」
「今は、それだけ理解しておいてください」
シラツルはそう言い終わると、静かに目を閉じました。
「いい世界を作るための礎……」
指揮官がそう言うと、シラツルはそっと目を開けました。
「きっといつか、このプロジェクトについて、すべてを知る日が来ますから」
「……ああ、いつか……な」
「はい」
シラツルは指揮官を静かに見つめながら言います。
「きっと、必ずきます」
「最後に、もう一つ聞いてもいいか?」
指揮官は静かに質問をしました。
「いくつでも構いませんよ」
シラツルは微笑みます。
「『あの方』が誰なのか、教えてくれるか?」
「ええ、いいですよ」
シラツルは満面の笑みを指揮官に向けました。
「あの方は、おともだちの遠い遠い上司であり~」
少し間を置いて。
「私たちが暮らすこのアークの総司令官様です」
と答えました。
いい人たちが作る世界:B
「総司令官……だと?」
指揮官は驚いてシラツルを見ました。
「ふふ、はい」
シラツルは微笑んで答えます。
「……本当にいたんだな」
指揮官は呟くかのように静かに言いました。
「会ったこともなかったから、実在していると思わなかった……」
シラツルはそんな指揮官を見て静かに話します。
「そう思うのも仕方ありません。今、あの方には誰ひとり会うことはできない状況ですから」
「だから、手紙にも『会いに行けない』と書いてあったのか?」
「はい」
「なので、子どもたちのために、たくさんの手紙を前もって書いておいて……。直接会いに行けないおともだちに手紙が渡るようにしたのです」
指揮官はその話を聞いてシラツルに尋ねました。
「なぜそんな状況なのかは……秘密か?」
「はい、その通りです。いま話せることは……」
シラツルは静かに自分の手を見ました。
「あの方は今も……こうしておともだちと話しているこの瞬間も、アークのために『犠牲』を払い続けているということだけです」
「アークのために犠牲を……?」
シラツルはその質問に答えず、指揮官に視線を移しました。
「私が話せることは、これで全てです。少しは、役に立ちましたか?」
「……ああ。十分すぎるほどだ」
「他に聞きたいことはありますか?」
シラツルはそう言って微笑みかけます。
「いや、今はこれだけで十分だ」
「ふふ、ならよかったです」
「答えづらい質問だったのに、正直に話してくれてありがとう」
指揮官は心苦しそうにシラツルにお礼を言いました。 シラツルはそんな指揮官を見て、何かを思いついたかのように言いました。
「う~ん……あ、それなら!」
シラツルは少し無邪気な笑顔を浮かべて尋ねます。
「私からも、1つだけ聞いてもいいですか?」
「私に?」
「はい、気になることがあるんです。なので、正直に答えてくださいね」
「……何だ?」
指揮官は不思議そうに首を傾げました。
「おともだちから見て……。私たちが暮らすこのアークは、よくなっていると思いますか?」
シラツルから無邪気な笑顔が消え、真剣な眼差しで尋ねました。
「……そんなことを聞かれるとは思わなかった」
「あら、そうですか?」
シラツルはくすっと笑いました。
「今日一日、アークをあちこち歩きながら……。サラやオリバーの答え、そして過去の話をすべて聞いたうえで……。おともだちがどう思ったのか、聞いてみたくなったんです」
「私は……」
少しの間、指揮官は夜のアークの街並みを見つめていました。
※「いい方に向かっていると思う」
「どうしてですか?」
「アークには確かに、多くの問題があるが……」
「オリバーさんが言っていたように、私も何度も優しい人たちに助けられてきた」
シラツルは指揮官の言葉を静かに聞いていました。
「それに『あの方』のように、いい世界を作ろうとする人もいる」
「ふふ、そうですか」
彼女は静かに笑いました。
「今はまだ、いい場所だと言えなくても。これからも努力し続ければ、きっといい方向に向かっていくと信じている」
「……なるほど。そうお考えなんですね」
シラツルは微笑みます。
「貴重なご意見、ありがとうございました」
「シラツルは、どう思っているんだ?」
指揮官は静かにシラツルに尋ねました。
「私ですか?そうですね……」

シラツルは少し考えて、言葉を口にしました。
「アークに来る前、地上では……。戦争で家族を失ったり、仲間を失って悲しむ人ばかりでした。でも今日、手紙やテレビの中ではなく……。この目で実際にアークの人たちを見ることができました」
彼女は今日あったことを思い出すように、優しく目を閉じました。
「人々は今でも病気や事故、寿命で死を迎え、悲しみに暮れてこそいましたが……」
「小さな子がぬいぐるみをなくして泣いたり、そのぬいぐるみを見つけて嬉しそうに笑ったり……。家族でショッピングをしたり、食事をしたり……」
「……そんな、ありふれた日常を送っていました」
シラツルはゆっくり、優しく目を開きました。
「そんな日常を送ることができるということこそが、世界が前よりもいい方向に向かっている証だと思います」
「人々が、こうして日常を取り戻せたのは……」
シラツルはそっと指揮官と目を合わせ、優しく微笑みました。
「おともだちのような優しい人たちと、優しいニケたちの献身と犠牲があったからでしょうね」
「だからきっと、大丈夫だと信じています」
「今のアークがどんな場所であれ。優しい人たちが、これからもいい世界を作ろうと努力していくでしょうから」
「世界はきっと、いい方向に向かっていきます」
「そして、その中心に……おともだちがいると信じています」
「おともだちは、本当にいい人ですから」
そう言って、シラツルは満面の笑みを浮かべました。
「……いや、いい人ではない」
指揮官がシラツルから目を逸らして、低く呟きます。
「私は君から、話を聞き出すためだけに手助けをしたのだから」
「まあ、そんなことを気にしていたんですか?」
シラツルは少し意外そうな顔をしました。
「よしよ~し」
シラツルは笑顔で指揮官の背中をやさしくぽんぽんと叩きました。
「ふふ、おともだち。正直に答えてくださいね」
そして、穏やかに話します。
「今日、私を鉄道駅まで送ってくださったのも……。ぬいぐるみをなくした子をあやしていたのもぜ~んぶ、話を聞き出すためだったんですか?」
「それは……」
指揮官は静かに答えました。
「それに~」
「いい人が、そういう考えを持ってはダメなんですか?」
シラツルは微笑みます。
「欲を持つことや、個人的な望みがあること自体は悪いことではありません」
「結局は、その気持ちで何をしたのかが大事なんです」
指揮官はそっとシラツルを見つめていました。
「言ったでしょう?」
「この世に当然はなくて、ただ自分で考えて、選択したという事実しかないと」
「だから私は、おともだちはいい人だと思います」
「そんなおともだちが選択して、作っていく未来は……」
二人の頬を優しい風がなでました。
「きっと、私が夢見てきた”いい世界”になると確信しています」
「……それは少し、荷が重いな」
指揮官は少し苦笑いをしました。
「まあっ、ごめんなさい。責任を感じさせるために言ったわけではなかったのですが……」
シラツルは申し訳なさそうに話しました。
「私の選択が、必ずしもいい世界を作ることに繋がるとは限らないが……」
「君が大切にしているものを守れるよう、努力はするつもりだ」
シラツルはその言葉を聞いて微笑みました。
「う~ん……じゃあ、こうするのはどうでしょう?」
「これからは私が、おともだちを見守ります」
「契約しよう、ということか?」
指揮官はシラツルの顔を見つめました。
「いいえ」
そう言って、シラツルは静かに首を振りました。
「契約も約束もしません」
「ただ純粋に、見守りたくなりました。おともだちが作っていく未来を──」
「そうすればきっと、おのずと答えが分かるんじゃないでしょうか?」
「おともだちが作っていく世界が、どんなものになっていくのか。それは私が願っている、いい世界なのか」
指揮官はシラツルに優しく尋ねます。
「……もう、地下での生活には戻らないということか?」
シラツルは驚き大きく目を見開きました。
「私を見守るんだろう?」
指揮官はシラツルを見つめて悪戯っぽく微笑みました。
「あら……そうなりますね……?」
シラツルは、呆気にとられたように言いました。
指揮官はそんなシラツルを見つめて、ゆっくりと話します。
「……分かった。なら、見守っていてくれ」
「テレビや手紙を通してではなく、実際にアークを体験してみたあとに……」
「!!」
シラツルは驚いて目を見開きました。
「君が得た答えを改めて教えてほしい。アークがもっと、いい場所になったのかどうか」
「……私が地下で暮らしていたことを、気にかけてくれていたのですか?」
「……」
指揮官は何も言いませんでした。 まるで、それが答えであるように。
「……本当に優しい子なんですから、おともだちは」
シラツルはそっと手を差し出しました。
「よしよ~し。こんなに立派に育って~」
指揮官の頬に触れると、優しくなでます。
「子ども扱いされるのも、だんだん慣れてきたな……」
「分かりました。そうしましょう」
シラツルは触れていた手をそっと下ろしました。
「もう、地下で暮らしません」
正式に、慈しむように指揮官に微笑みます。 シラツルの動きに合わせて、髪飾りと耳飾りが優しく揺れました。
「アークでおともだちに会ったりしながら、生活してみますので……」
「また一緒に、お話ししましょうね」
GOOD WORLD:END
補足(別ルート分岐部分)
「……そんなことを聞かれるとは思わなかった」
「あら、そうですか?」
シラツルはくすっと笑いました。
「今日一日、アークをあちこち歩きながら……。サラやオリバーの答え、そして過去の話をすべて聞いたうえで……。おともだちがどう思ったのか、聞いてみたくなったんです」
「私は……」
少しの間、指揮官は夜のアークの街並みを見つめていました。
※「残念だが、そうは思わない」(選択肢)










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