【あくねこ】仮縫いの毎日だったから【SS】フルーレ編

2022年7月3日

こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです♪悪魔執事と黒い猫(あくねこ)フルーレの過去編(憶測)。
という事で語っていきたいと思います♪

ちょっと性的な表現や暴力的な表現がありますので18禁にしたいと思いますヾ(・ω・*)

よいこのお友達は読まないでね(ノシ 'ω’)ノシ バンバン

何時もの如く、鬱ネタがあります。引き込まれそうな方は読まない様に(`・ω・´)ゞ

スポンサーリンク

フィオレと呼ばれた少年

その子の名前は本来「フィオレ」と言う名前ではなかった。

とある家の一室でミシンの音が聞こえる。

『あら、上手に出来てるわね。フィオレ』
『お母様みたく、綺麗な洋服を作れるようになりたいんです』
『ほんと・・・男の子じゃなければ・・・』

母親はフィオレと呼ばれた子を横目で寂しそうに見た。

『おれは・・・じゃなくて・・・』
『今なんて言ったのっ!?』
『・・・えっと・・・わっ・・私は・・・』
『フィオレは女の子なのっ!!だから、そんな話し方をしちゃ駄目って何度言ったら分かるのっ!!』

母親は平手でフィオレの頬を思いっきり叩くと、フィオレは椅子から転げ落ちスカート裾から細くて白い足を覗かせた。

『綺麗な白い肌。長い髪・・・。綺麗な手・・・貴方は女の子なのよ?』
『・・・申し訳ありません。お母様・・・』

母親は髪を引っ張り無理やり起き上がらせると、椅子に座らせる。

フィオレは袖で涙を拭い、声も上げず。
壊れた機械の様にまた、ミシンを使い始めた。

『ねぇ?分かる?私は可愛い子が好きなの。お人形さんみたいな可愛い子で、フリルの沢山ついたドレスを着て綺麗に踊れる女の子よ?』

そう言って、母親は近くに置いた合った櫛を手に持ちフィオレの髪を優しくとかし始める。

『ねぇ・・・フィオレ・・・貴女なら分かるわよね?』

幸せだった日々・・・

こんなフィオレでも幸せだった記憶が無いわけではない。

フィオレの父がお酒に溺れずにまだ、元気だった頃の話。

父はフェイシングが上手く、母は朝から晩まで大好きな洋服作りをして、街に売りに出かけるような人であった。

フィオレは決して裕福とは言えなかったけど、幸せに暮らしていたのだ。

父がお酒におぼれた理由は天使だった。

あの日──

『フルーレっ!!危ないっ!!』
『父さん!?』

父は天使からの攻撃を庇ったために、一生フェイシングが出来ない身体になった。
最初は気丈に振る舞っていたものの、次第に酒におぼれる様になっていった。

母がおかしくなってきたのはその頃からだった。

『フィオレは女の子だからしょうがなかったのよね・・・』
『フィオレの顔に傷が付かなくて良かった』
『ねぇ?フィオレ、ちゃんと女の子らしい振る舞いをしないと駄目よ?』

最初は否定していたものの、その度にヒステリックになり当たり散らす母をなだめるためには『女』として振る舞うしかなかった。

フィオレは一人きりになると
『俺は・・・あの時何も守れなかったんだ・・・』
と枕に顔を埋めて泣いた。

無力な自分。痛みと引き換えに

夜、フィオレがバレエのレッスンから帰ってくると家の中がやけに静かだった。

『・・・お母様?』

何時もなら、どんな練習をしたのか?変な人に合わなかったか?などをいちいち聞いてくる母親だったのに、この日は違っていた。

フィオレは蝋燭に光をともして一室づつ確認していく。

とある部屋に差し掛かった時『パンっ』と乾いた音がした

『!?』

フィオレは急いでその部屋を開けると酔いつぶれている父親が椅子に座っており、母親は床にダラリと横たわっていた。

『どういうことなの!?お母様!?』

深紅の水溜まりがどんどん広がっていって、母親はその中心にいた。

フィオレは母親を抱き起そうとするが、本人にその意思はなく手が床にパタリと落ちる。

母親の腕に巻かれていたのは、フィオレが母親に初めて作ってあげたリボンだった。

──母さん、コレあげるっ!!
──まぁ。フルーレ。お裁縫上手なのね

頭の中には『なんで?』『どうして』『なにがあったの?』しか浮かばない。

飲みかけの酒のグラスから氷の音がする。

『・・・父さん・・・っ!!母さんがっ!!』
『あ~・・・?』
『母さんが・・・ねぇ!!何があったの!?』
『・・・知らねーよ』

そう言って、また酒を飲もうとする父のグラスをフィオレは叩き落とした。

『知らないじゃないでしょ!?こんな事になってるのにっ!!なんで、お酒なんて飲んでられるの!?』
『・・・煩い』

そう言って父はフィオレのお腹を蹴り上げる。

『うっ・・・な・・・ん・・・で・・・?』
『へぇ・・・「フィオレ」ちゃんねぇ・・・。案外イイ身体してんな・・・』
『父さん!?』
『少し黙ってろ』

じりじりとに詰め寄る父に対して、フィオレは蹴り上げられた痛みで動くことも出来ずにいた。

『・・・お願い。止めてっ!!』
なんとか這いつくばって逃げようとするが、深紅の水溜まりはヌルヌルと滑る。

『いい子だから・・・』

──いい子ってなに?言う事を聞く子?俺って何?あぁ・・・母さんごめんなさい。俺が女の子に生まれていればこんな事にならなかったのかもしれないね?ごめんね・・・無力でごめんなさい──

フィオレが手を伸ばした先には、母にあげたリボンがあった。

引っ張るとそれはシュルっと外れて、深紅の水溜まりに落ちた。

長い髪、月明りの下

部屋には一人かつて『フィオレ』と呼ばれた女の子がいた。

その女の子は水色の長い髪をナイフで切り落として、深紅の水溜りに浮かべた。

水色の髪は、月明りを受けて銀色に輝いている。

『これで、みんな一緒だよね?俺はそろそろ行かないと・・・さようなら。父さん、母さん。・・・フィオレ』

俺は弱いかもしれない。
だけど、強くなるから・・・。

おまけヾ(・ω・*)

フルーレの過去編という事で今回、語ってみました♪(すんごい憶測)
『カタカナのフとレが入っている女の子の名前ってなんかある?』と一緒に考えてくれたお友達さん♪
本当に有難うございました(/ω\)♡

乱用ですよ♪

そして、最後まで読んで下さった皆様♪本当に有難うございました☆

スポンサーリンク