【あくねこ】ミヤジとルカスの事情【SS】

2022年7月3日

こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです☆

今日は悪魔執事と黒い猫(あくねこ)の『ミヤジとルカス』ってなんで仲が良くないのかな?と思って考察SSを語っていこうと思いますヾ(・ω・*)

若干ネガティブ系なので、引き込まれちゃいそうな人はご遠慮下さい。

スポンサーリンク

戦闘と怪我

──二年前──

屋敷には天使の警報が鳴り響いていた。

『ミヤジ。こっちは手が離せないんだ。悪いけど行ってもらっていいかな?』

ルカスは患者の処置に当たりながらミヤジ話しかけた。

『分かった。行ってくるよ。ルカスも無理はしない様に』
『・・・』

無言で処置を続けるルカスはそれだけ集中している事なんだろう。
ミヤジはそれ以上声をかけるのをやめ武器を用意し天使が現れたと言うところまで直行する。

『ミヤジさんっ!!早くこちらへ』

現地に付くとベリアンが急いでミヤジの道案内をする。逃げ惑人々の中を逆走する二人。

『状況は?』
移動しながらミヤジはベリアンに尋ねた。
『天使は1体です。ですが・・・』
『?』
『攻撃が通じないんですっ!!今ゼパルさんが食い止めていますがっ・・・』

ミヤジはベリアンの顔をを見る事は出来なかったが、かなり焦っているという事は分かった。

『ベリアン、何か方法は・・・?』

ミヤジはこんな時だからこそ落ち着いてベリアンに話しかける。

『まだ・・・なにも・・・』

ベリアンとミヤジが走っていた速度を落とした先には、1体の天使と戦うゼパルの姿があった。

『し・・にな・・・さい』

『ゼパルさん!!大丈夫ですか!?』
『はぁ・・・はぁ・・・まぁ・・・なんとか・・・ね』

ベリアンとミヤジはゼパルを庇うようにして、二人で前へ出た。

『ゼパル・・・下がれるかい?』

ミヤジは負傷しているゼパルの姿を横目で見ながら言う。

『前線離脱・・・か・・・うっ・・・』
『ここは私とミヤジさんで食い止めますっ!!』

咳込んだゼパルは口から大量の血を吐く。

『ゼパルさんっ!?』
『俺の事はイイからっ!!早く天使をっ・・・!!』
『ベリアン。ゼパルを連れて屋敷に戻ってくれないかな?』
『・・・なっ!?何を!?』
ベリアンは驚いた表情でミヤジに言う。

『私がここを引き受けるよ。早くしないと、ゼパルの命がもたない。内臓の破裂、左腕の骨折・・・ここには処置できるものが何もない。ルカスならまだ助ける事が出来る』
『・・・で・・・ですがっ!!』
『私なら大丈夫。さぁ、行くんだ』


『・・・しになさい・・・命の・・・』

その瞬間、ミヤジの周りを白い光が覆う
『──っ!!』
その中を遮る一つの影があった。

『!?』

輝きを知らなければ・・・

消毒の香り。独特な薬の香り。
ミヤジが次に目を覚ましたのは見慣れた医務室のベットの上だった。
『っ・・・』
『ミヤジ。まだ身体は動かさない方がいいよ』

無理に身体を起こそうとしたミヤジをルカスが制する。

『て・・・天使は・・・?』
『今はその事について話すのは止めよう。ミヤジ自身の体力の回復が優先だから』
『私の左眼はもう見えないのかい?』

ミヤジは自分の左顔面の包帯に手を添えながらルカスに聞いた。

『・・・』
『ルカス。私は大丈夫だから、他の人を診てくれるかい?』

ルカスは処置が終わると
『じゃぁ、また後で』
と言ってその場を後にした。

『ゼパルやベリアンは・・・無事なのだろうか?』

ミヤジは一番傷む左目を包帯の上から抑えた。
『うっ・・・』
肉をえぐる様な激痛が彼を襲った。

──数か月後──

季節が変わるころになると、ミヤジはベットから起き上がれるようになっていた。
そして、今日は目の包帯が取れる日だ。

『じゃぁ、取るね』

シュルシュルと音を立てて、包帯が床に落ちていく。

両目を閉じていたミヤジはゆっくり目を開けた。
『え・・・?』
片方の光を失った状態を想像していたミヤジだったが、現実は違っていた。

『勘の良いミヤジの事だから、隠してもすぐ分かってしまうので本当の事を話すよ』

ルカスは静かにその時の事について話し始めた。

『あの後、私は患者の処置を終えてみんなの所に向かったんだよ』
『・・・』
『ベリアンと一緒に瀕死のゼパルとミヤジを屋敷に連れて帰ってきたんだ』
『ベリアンとゼパルは?』

ミヤジは左顔面を抑えながら言う。
背中に嫌な汗がにじんでいた。

『ベリアンは背中に傷を負っていたけど、今は業務ができるくらいになっているよ。ゼパルは・・・』

ミヤジは急にベットから起き出し、鏡のある場所までおぼつかない足取りで向かう。

『これは・・・一体どういう事だい!?』

ミヤジは自分の顔の縫合してある部分を指で触り、その後にルカスに胸倉に掴みかかる。

『まさか・・・ルカス・・・っ』
『ゼパルは助けられなかったんだ。ミヤジの方が生きる確率が高かった』
『・・・だからって、こんな事・・・』
『ミヤジも望んではいない事は分かっていた。それでも、医師としては助かる命を優先しないといけないんだよ。それはミヤジ自身も分かってるはずだ』

胸倉を掴んでいた手が力なく離れ、ミヤジはその場にしゃがみ込んだ。

『ミヤジ・・・』
『触るなっ!!ルカスなら助けられたはずだ!!何故だ!?なぜ、私を助けた?』
『・・・私にもできない事はあるよ。理由はさっきも言った通り、ミヤジの方が生きる確率が高かったんだ』
『嘘だ・・・』
『・・・』
『何故、人の命を犠牲にして私が生きている!?そんなのが許されるはずがないんだ・・・そう・・・許されないんだよ・・・』

ルカスはそんなミヤジの様子を見ると、そっと部屋から出てドア越しに小さな溜息をついた。

『あのっ・・・。あの事は話さないんですか?』

廊下には心配した表情のベリアンがいた。

『ゼパルが魔導服に取り込まれてしまった事かい?』
『そうです。そうすれば仕方がなかった事だと分かってくれると思うのですが・・・』
『ベリアン。ミヤジに一番必要なのは時間だよ』
『・・・』
『ですがっ・・・』
『私なら、恨まれて当然だからね』

ヤマアラシのジレンマ

──昔の夢を見ていた──

ミヤジにとっては忘れたくても忘れられない過去の話だ。

自分の顔を鏡で見ると嫌でも思い出してしまう。

人の犠牲で成り立つ命。

『ミヤジ先生?何かあったんですか?』
鏡の前で動かないミヤジにラトが声をかける。

『いや?何もないよ』
『それなら良かったです。ミヤジ先生に聞きたい事があります』
『なんだい?』

ラトは1冊の絵本を取り出しミヤジに見せた。


『ヤマアラシさんは、どうして傷つけ合わないと適度な距離が取れないんでしょう?近づいて、お互いに傷ついた方が温かいんじゃないでしょうか?むしろ、それなら最初からお互いに近寄らない方がイイのでは?と考えました』
『ラトくんは難しい絵本を読んでいるんだね。傷つけ合うという事は痛みを伴うという事だよ。それは、いずれ温かさより痛みの方を感じる様にになって不快感を覚えるんだよ』
『では、近寄らないは?』
『それは、孤独を意味するんだろうね』

ミヤジはラトの頭を優しく撫でる。

──あの日、ルカスとベリアンが話していた話を私は聞いていた。
そして、綺麗な遺体のゼパルの腹部の皮膚を見て何とも言えない気持ちになった。
ゼパルはいないのに、ココにいる。許せないのはルカスじゃない。自分自身である事を理解していた──

『ミヤジ先生。私はミヤジ先生や、フルーレに針毛を向ける事はありません。だけど、大切な人に針毛を向ける相手がいたら容赦しません』

──子供たちはいつも純粋だ。願わくば、私の様な人間が増えてほしくないと思う──

おまけヾ(・ω・*)

今回はミヤジとルカスのお話を書いてみました(/ω\)♡

本当に個人的な考察なので『考えてるのとちがーうっっ!!』と言う人もいると思います。ご期待に添えない場合は申し訳ありません。

最後にラトを出したのは・・・完全なる趣味趣向です(`・ω・´)ゞ
最後まで読んで下さって有難うございました☆ゆいなでした♪

スポンサーリンク