【あくねこ】主様、お誕生日おめでとうございます【SS 1階編】

2022年7月3日

こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです☆
地下に続き『1階の執事達のお話』を語っていこうと思います♪

スポンサーリンク

主様Haapy Birth Day☆ 1階の執事達の場合。

私がデビルズパレスに戻るといつもと屋敷の様子と違っていた。

ベリアンが私が帰った事に気づくと
『あ、主様。お帰りになったのですね』
と嬉しそうに微笑む。

その声を聴いたロノ、バスティンが私の近くに来た。

『み・・・みんなどうしたの?』
『主様、今日は何のだか知ってます?』
ロノが私に尋ねた。

『えっと・・・』

仕事がお休みの日・・・。じゃなくて・・・。何かのお祝いの日・・・?
こっちの世界では何かあるのかな?

色々考えているとバスティンが
『主様、誕生日おめでとう』
と言った。

『ちょ・・・おまえ。主様が考えてるのに・・・』

ロノがすかさず口を挟むが、ベリアンが
『まぁまぁ。今日は主様の大切な日です。二人とも仲良くしましょう』

と穏やかに声をかける。

納得できないような表情を浮かべたロノだったが、気を取り直して

『今日は主様のお誕生日です!!盛大にお祝いしたいと思いまして、主様のいない間に屋敷の皆でサプライズを考えたんですよ』
『みんな大変だったでしょ?有難う』
『主様は忙しい。自分の誕生日を忘れていても仕方がないと思う』

バスティンはいつもの調子で答える。

綺麗に飾りつけされた屋敷は、いつも以上に華やかだ。

ベリアンがそんな私を見て
『主様。折角帰ってきたのですから、自室でゆっくりしていてください。私たち1階の執事のお祝いの言葉で気疲れさせてしまっては申し訳ありません・・・。本日は本当におめでとうございます』
そう言うと、礼儀正しくお辞儀をした。

『主様には、寂しい思いをさせたくありません』 ベリアンの場合

──デビルズパレス 自室──
自室に戻り一息つくと誰かが部屋のドアをノックした。

『どうぞ』
『主様。今、お時間大丈夫でしょうか?』

いつも通り、穏やかな口調でベリアンが言う。

『うん。大丈夫だよ』
『それを聞いて安心しました。喉は乾いていませんか?先日、新しい茶葉が手に入ったんです。是非、主様に召し上がって頂きたくて』
『べリアンが入れてくれる紅茶は美味しいから。いつでも大歓迎だよ♪もし・・・良かったらだけど、一緒に飲んでくれないかな?一人だと話し相手もいなくて、ちょっと寂しいんだ』

今日は珍しくムーが居なくて、ミヤジの所に勉強をしに行っているようだった。

『主様のお誘いでしたら、断るわけにいきません。少々お待ちください』

──少し後──

『主様。お待たせいたしました』

そう言って運ばれてきたのは、上品なティーカップ2個とティーポットだった。

『べリアンのお気に入りのカップ?』
『よく分かりましたね。この軽さと形がとっても気に入りまして。主様がいない時に落ち込むと、よくこのティーカップで紅茶を飲むんです』

話しながらベリアンは紅茶を入れていく。
無駄のない動作は、何度見ても綺麗だなと思う。

紅茶を入れている最中に甘酸っぱい林檎の香りがする。

『・・・もしかして、アップルティー?』

紅茶に詳しくない私なので自信がなかったけど、間違えてもベリアンなら怒る事はない。

『はい!!正解でございます。アップルティーにはリラックス効果があり、ストレス解消に役立つ成分が入っていると言われております』

紅茶の話をしている時は本当に楽しそうな顔をするベリアン。

『さぁ。準備が出来ました。頂きましょう』
ベリアンが静かに私の前に座る。

『・・・』

『主様どうしました?アップルティーはお嫌いでしたか?』
心配そうにベリアンは私に尋ねた。
『・・・えっと・・・』
『どうされましたか?』
『私・・・猫舌なんだよね』
『そうだったんですか!?そうとは知らず、申し訳ございませんっ!!』
『べリアンは悪くないよ。少し経てば冷めるし。べリアンが入れてくれる紅茶は美味しいよ♪』
『・・・ですが・・・』

用意した紅茶を見てすまなさそうにするベリアン。

『大丈夫だからっ!!そんなに気にしないでっ!!』
何とか気にしないでもらいたいと、必死に声をかける。
『主様に対して、大変失礼な事をしてしまいました。私は執事失格ですね・・・』
『そんなに落ち込まないで・・・』
ベリアンの顔を見ていると私まで申し訳なくなってしまう。

『主様。紅茶が冷めるまでの時間。私に少々お時間をもらえませんか?』
何かを思いついたらしくベリアンは明るく話し出す。
『うん・・・。ごめんね。ベリアン』
『主様が謝る事ではありません。ほんの少し予定が狂ってしまっただけです』
『予定?』
ベリアンに何か予定があるのかな?と考え
『いってらしゃい』
と声をかけた。

『違います。主様のお時間を頂きたいのです』
『?』
ベリアンはくすっと顎に手をあて笑った。

『主様。こちらをご覧ください』
ベリアンの手のひらには綺麗にラッピングされた手のひらサイズの小さな箱がある。
『これは・・・?』
『主様への・・・お誕生日プレゼントでございます』

『えぇっと・・・』
突然の事でびっくりしてしまう。
『本来であれば、紅茶を召し上がった後にと考えていたのですが・・・。私のミスで台無しになってしまい申し訳ありません・・・』
『台無しだなんて・・・そんな』

ベリアンは礼儀正しくお辞儀をした。
『ベリアン。顔をあげて』
『主様には、いつも最高のおもてなしをしたいと考えているのですが・・・。なかなかうまくいかないモノですね。ですが、こちらで喜んでいただけたら良いなと考えております』
そう言って、小さな箱を私にわたした。

『開けていいの?』
『もちろんでございます』
ベリアンは笑顔で私の顔を見る。

丁寧な包装をゆっくり開けていくと、箱の中にはネックレスがあった。
『・・・凄い・・・』
それは、今まで見てきたどんな宝石よりも綺麗で。
外のどんな小さな光も反射して輝くモノだった。

『主様へのプレゼントでございます。僭越ながら、私が作らさせて頂きました』
『作った!?』
『はい。コチラの世界の魔石を加工して仕上げたものです。お気に召したでしょうか?』
『魔石!?』
『主様の世界ですと・・・【お守り】と言う言葉が近いかもしれません』
色々ビックリする事が重なると人間は行動が止まってしまうモノだなと思う。
頭の中は冷静だけど、色々処理がしきれていない。

『もしよろしければ・・・今つけてみませんか?』
ベリアンが恥ずかしそうに俯きながら訪ねてくる。

『・・・つけてくれるの?』
『もちろんです。主様。』
そう言って、ベリアンはネックレスを手に取ると
『主様。失礼いたします』
私の髪を静かにまとめ、ネックレスをつけはじめる。

首筋に優しくベリアンの手が触れる。
『こうしていると・・・恋人のような感じがしますね』
ベリアンの表情は見えないが、嬉しそうに聞こえる。
『そっ・・・そうかな?』
『はい。人は一人では生きてはいけません。ですから・・・主様をずっと支えていける存在でありたいと考えております』
『じゃぁ・・・私は・・・べリアンを支えていけるような存在でありたいな』

ネックレスを付けていた手がぴたっと止まる。

『主様は何処にもいかないですよね?』
『うん?いかないよ?』
『・・・変な質問をして申し訳ありません。さぁ、できましたよ』

ベリアンは、そっと私の前に鏡を差し出す。
胸に飾られたネックレスは、透明でも角度によって色んな色に光る不思議な石だなと思う。

『お似合いですよ。主様』
『ありがとう。ベリアン』
『こうして主様に喜ばれると、私もとっても嬉しいです。えっと、次のお誕生日も喜んでもらえる様に頑張りますね♪』
『・・・ベリアン気が早よ。私は今日、誕生日きたばっかりだよ?』
『いいじゃないですか。〇〇様。お歳を召しても主様は素敵な主様です。ずっと私にサポートさせて下さい。本日は、お誕生日本当におめでとうございます』

窓から入ってくる光でネックレスが反射し、鏡を照らす。
優しい時間が流れていた。

『主様は俺が守る』 バスティンの場合

──コンコン──
自室にノックの音が響く。
『どうぞ?』
私がそう答えても、なかなか扉が開く様子がない。
『・・・?』
こんな時、不用意に扉をあけたら・・・多分駄目だよね?

ドアの前まで行き、耳を澄ませてみる。
『うぅっ・・・』
『!?』
うめき声!?
私は慌てて扉を開ける。
そこにうずくまっていたのは、バスティンだった。

『バスティン!?どうしたの!?』
『あ・・・あるじ・・・さまっ・・・』
『しっかりして!!今、ルカス呼んでくるからっ!!』
そう言って、急いでルカスの所に行こうとする私の腕をバスティンが掴んだ。
『ちがう・・・腹が・・・へった・・・』
『えぇ!?お腹すいたの!?』
『・・・(頷く』

他にもどこか調子が悪い所があるんじゃないか?と心配になってしまうけど、とりあえずバスティンを部屋まで運ぶことにした。

『バスティン・・・大丈夫?今ロノに事情を話して、お肉料理作ってもらうように頼んだから。少し待っててね・・・。』
『主様に迷惑をかけて、すまない・・・』
ベットに横になったバスティンは申し訳なさそうに呟く。

『でも・・・なんでそんなに、お腹が減るまで気づかなかったの?いつもはお腹が減ったら、すぐつまみ食いするのに・・・』
『いつも・・・ではない。たまに誘惑に負ける時があるだけだ』
『そうかもしれないけど・・・倒れるまで頑張らなくても・・・』

『コレを・・・作っていた』

バスティンは自分のお腹の服あたりをごそごそして、作っていたものを取り出す。
『・・・?』
『主様の誕生日プレゼントだ』
『え?』

バスティンの手元にはキラキラと輝くティアラがあった。
『俺は手先が器用だ。だから、主様の為に作た』
『凄い・・・』
手渡されたティアラをまじまじと見ると、細かい所まで気を配って作っているのが分かる。と言うか・・・ティアラって作れるものなの?

『どうやって作ったの?』
『剣の訓練とあまり変わらない。ただ、没頭して作っていただけだ』
・・・簡単にできるようなものではない事は理解した。

『付けないのか?』
『え・・・?今すぐに?』
『気に入らなかったか?』

バスティンはそう言って私の顔を覗き込む。

『っ・・・そういう訳じゃないんだけど・・・なんか恥ずかしくて・・・』
ティアラなんて付けた事が無いし・・・。

『フッ・・・ならいい』

バスティンは優しく笑うと、私の頭にそっとティアラを飾った。

『・・・』
『よく似合っている』
『えっと・・・その・・・ありがとう・・・』
『フェネスさんから話を聞いたんだが、ティアラには誓いと言う意味があるらしい。俺は、主様の事を絶対に守ると誓う』
私はそっと、ティアラを触る。
そんな事を考えて作ってくれたんだ・・・。
恥ずかしいけど、嬉しいな。

『私もバスティンの為に出来る事があればいいんだけど・・・』
『主様はいつもそばに居てくれれば、それでいい』
『それでも・・・バスティンの為になんかしてあげたいよ』
『それなら、主様は俺の前では無理をしないで欲しい・・・そして・・・』

そんな時にバスティンのお腹の音がなる。

『主様、すまない』
真面目な事を話す時もあるけど、やっぱりバスティンはバスティンだなと思ってクスッと笑った。
『ロノのご飯の支度ができたら、一緒に食べよう』
『主様が一緒なら、俺も嬉しい』

バスティンがそっと手を差し出し、私はその手をそっとつないだ。

綺麗で繊細なモノを創れる手は天使を倒す為じゃなくて、人を幸せにする為にあるっていつか分かって欲しいな。

『いつかの思い出に』 ロノの場合

──デビルズパレス 厨房──

『主様?お腹が空きましたか?』
喉が渇いたので、厨房に行くと丁度ロノが食事の支度をしている真っ最中だった。
沢山の食材に囲まれて、手際よく動いているロノ。

『ちょっと喉が渇いちゃって』
『ちょっと待っててください』
と言って、ロノは飲み物を用意してくれる。

『主様コチラをどうぞ』
『忙しいのに、ごめんね』

用意された飲み物は涼しそうに、氷がカランっと音を立てた。
『いえいえ。主様のお役にたてるならこのくらいお安い御用ですっ!!』
得意そうな顔をして、ロノがほほ笑む。

一口飲み物を飲むと、フルーツの自然な甘みが口いっぱいに広がった。

『美味しいっ!!フルーツティー?』
『正解ですっ!!先日、沢山の新鮮な果物を街の人から頂いたので、フルーツティーにしてみました。もちろん、主様の好きなフルーツを考えてです』

グラスは結露して、小さな水滴を付けるがロノは気づくとすぐに拭き取ってくれる。
『そんなに、気を使わなくても大丈夫だよ』
『いえ。俺がやりたいからやっているだけですよ』

『・・・っと。それと、主様』
『?』
『今日はコレを主様に渡そうと思って』
ロノは小さな小包を差しだした。

『今日は主様のお誕生日じゃないですか。それで、オレ考えたんですよ。食事はオレの得意分野ですし、いつでも主様に振る舞う事が出来ます。なので、残る物がイイかなと思って。開けてみて下さい』

そう言われて、目の前の小包を静かに開ける。

『・・・これって・・・』
『へへへっ。ビックリしましたか?この日の為に作ってみたんですっ!!』
中に入っていたのは綺麗なブレスレットだった。

『すっごい綺麗だねっ!!ロノって・・・料理も作れるしアクセサリーもつくれるんだ?』
『いいえ?今回初めて作ってみました。難しい工程もあったのですが、主様にプレゼントした時にどんな顔をするかなと思って。楽しみにして作ってみたんですよ。完全に俺の趣味になってしまいましたが・・・気に入って頂けましたか?』

そう言って、ロノは心配そうな顔をする。

『本当に、びっくりした・・・嬉しい。ありがとう』
そう言うと、自分は目頭が熱くなっている事に気づく。
『ちょ・・・主様。泣かないでくださいよっ!!』
『だって・・』
『さぁ、主様。涙を拭いてください』
そう言ってロノはハンカチを手渡す。
『うん・・・。本当に素敵な誕生日だよ。ありがとう』

『じゃぁ、主様最後に一つだけお願いを聞いてくれますか?』
『?』
『手をだしてください』
『こう?』

そうすると、優しくロノがブレスレットをつけてくれる。
『えっと・・ロノ自分でもつけられるよ?』
『いいんですよ。オレが主様にしてあげたいんです。って・・・迷惑だったら言って下さいね?』
『ううん?迷惑じゃないよ。嬉しい・・・』
『主様、嫌な事。辛い事があると思いますが・・・いつかきっといい思い出になる日がきっときますよ。今日は本当にお誕生日おめでとうございます。このあと、主様がびっくりするような料理を用意しますから楽しみにしていてください』

ロノが着けてくれたブレスレットは、グラスに付いた雫のようにキラキラと輝いていた。

おまけヾ(・ω・*)

主様、お誕生日おめでとうございます♪』という事で、今回は1階の執事さん達のお話を書いてみました♪

執事達がプレゼントしてくれているモノはそれぞれ意味があります。
ベリアンネックレス 絆を深めたい 永遠に一緒に居たい(束縛したい・・とかもあったり)
バスティンティアラ 誓い 祝福 永遠の約束
ロノブレスレット ずっと一緒にいたて欲しい (束縛なんかの意味があったり)
こんな感じです♪

楽しんで読んでいただけたら幸いです☆
ゆいなでした♪

スポンサーリンク