【あくねこ】紅椿【SS】シノノメ・ユーハン編

2022年10月19日

こんにちわヾ(・ω・*)ゆいなです☆

2022.10.8よりアプリ悪魔執事と黒い猫』のイベント『Butler’s halloween』が始まりました♪

公式さんでは、いろんなイベントが開催されていますのでお時間がある人は是非参加してみて下さい☆

主の世界のハロウィンを聞いて『仮装をしてドキドキさせるイベント』と勘違いしてしまった執事たち。一体どんな方法でドキドキさせてくれるんでしょうね(/ω\)♡

という訳で今回は、イベント本編で出てこないであろう・・・。

ユーハン編のSSを書いてみる事にしました♪

本編で毒にもなりそうだし、薬にもなりそうなユーハンさん。

結構お気に入りのキャラだったりします☆

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サルディス領土とフブキ様

『駄目だぞ。軍人ならもっと疑わないと』

サルディス領主のフブキは酒を嗜みつつ、ユーハンを冷めた眼で見ながら話しをしている。

『私は・・・』
『お前が許せる、許せないの話ではない。軍人と言うモノはそう言うものだ』
『・・・』
『そういや、グロバナー家から招待状が届いていな。ハロウィンパーティをするから参加しないか?と言う話だ。ユーハン。お前行ってこい』

フブキはグロバナー家からの招待状をユーハンの立っている足元にふわりと投げる。

『ハロウィン・・・?』

ユーハンは招待状を拾い中身の内容を確認する。

簡潔で短い文章の招待状は社交辞令だと分かるのに、今まで他国と必要最低限の付き合いをしてきたフブキがユーハンを派遣する意味が分からなかった。

『なぁ。ユーハン。お前が俺の立場だったらグロバナー家を落とす為にどう動く?』
『どうって・・・私はフブキ様ではないので、そんな言葉が出てくること自体が理解できません』
『まぁ、そうだろうな』

フブキは盃を下に下げると、酒に映っている自分の顔を見ていた。

赤と黒の盃は何世代も前から使われきたもので、そこに映るフブキ自身の顔は常に歪んでいた。

『フブキ様。飲みすぎですよ?』
『・・・悪魔執事か・・・』
『悪魔執事の皆さんがどうかしましたか?』
『我サルディス家の領土にも悪魔執事がいない訳ではなかったんだがね』

フブキの話を聞いてユーハンは子どもの頃に聞いたサルディス家の悪魔の話を思い出していた。

昔話は、実際の話をもとにして作られたモノが多く存在しておりその中に現在の"悪魔執事"にまつわる話と言うのも存在する。

『悪い子は・・・鬼に食われ、鬼になる?』
ユーハンが聞いた話の一節を口に出すと、フブキは楽しそうに笑う。

『フフフッ。そうそう。それ。そろそろ取り戻してもいい頃合いもしれないな』
『"鬼"をですか?』
『俺は天使がいなくなる未来なんて来ないと思っているんだよ。先々代が天使に太刀打ちできる鬼を作ろうとして、全て失敗した・・・。となっているが、実際はまだ存在しているんだよ。取り戻せればの話だが、グロバナー家にとって痛手にはなるだろう。その目で見て来い。サルディスの"犬"の姿を』

サルディス家とグロバナー家

翌日、馬でグロバナーまで移動しようとしたユーハンの肩に椿の花が触れる。

『椿の花・・・』

まだ咲き始めだったので花自体は落ちなかったが、毎年見ているはずの椿の華とても新鮮に思えた。

ユーハンは軍人になりサルディス領主に仕えるのは、先祖代々当然の事でありその未来を疑う事なく生きてきた。

グロバナー家の悪魔執事とその主を見るまでは。

ユーハン椿が咲いている細い枝を片手で持つと、自らの武器である剣で静かに切り落としてその花を胸に飾った。

『フブキ様・・・』

自らの勝利の為ならば、敵味方を関係なく利用する方・・・。

いつからそうなってしまったのだろう?

────

『オマエ、名前は?』
幼い時のフブキがユーハンに初めてかけた言葉を昨日の事の様に覚えている。
『シノノメ・ユーハンと申します』
『そうか。強くなれ。ユーハン。』

領主の息子の姿が見えたら跪くように教えを受けていたはずなのに、近づいたフブキに気配がなかった・・・。

遅れて跪こうとするが、フブキがそれを制する。

『よい。俺とお前は対等に話す仲なになるだろうから』

────

ユーハンは慣れた手つきで馬に乗るとグロバナー領土まで馬をは走らせていた。
頬に当たる風が冷たい。

本来なら、サルディス、グロバナー領土に限らず、全領土が協力して天使討伐に当たるべきなのだ。

だが、天使は強い。生身の人間ならもって数分と言うところだろう。

そうして、今は天使討伐と言えばグロバナー家に頼ざるを得ない状態。

ならば、支援するべきなのではないか・・・?

なぜ、この時期に国を落とそうと考える?

フブキ様は・・・変わられたのだ。
ユーハンはそれ以上考えるのを止め馬を走らせる手を強めた。

悪魔執事とユーハン

『あれ?ユーハン?』

ユーハンがグロバナー領土に着く頃にには夜に近い時刻になってからの事であった。
ユーハンの姿を見つけた主が声をかける。

『こんばんわ。悪魔執事の主』

ユーハンは挨拶をすると、胸に付けていた椿の華を一輪主に手渡した。

『これは・・・?』
『サルディスに咲いている花です。悪魔執事の主の世界にもある花かもしれませんが・・・』
『ありがとう。ユーハン』
『悪魔執事の主は着る服によって随分印象がちがいますね。最初は本当に悪魔執事の主なのか目を疑いました』
『えっと・・・これは・・・ハロウィンだからって、フルーレが作ってくれて・・・』
『お似合いですよ』

ユーハンは微笑むと、もう一度改めて主を見る。

白い肌、ルーズにまとめた髪。皆が洋風な仮装をしている中、一人だけ上質な着物を着ていて妖美な香りがする。

『主様?誰と話しているんですか?』

オオカミの仮装をしたラトが主の声に気づき近くに来る。

『こんばんわ。私はシノノメ・ユーハンと申します。サルディス家の軍人です』

握手をしようとユーハンは手を差し出すが、ラトはその手を無視をし主を守るように主の前に出る。

『シノノメさん。主様に何の用でしょう?』
『ラト?』
『・・・』
『ふむ。あまり交戦的な態度も良くありませんね。シノノメさん。サルディス家の人間にしては結構強い方ですよね?私と勝負しませんか?』

ラトはユーハンを見ながら楽しそうに話を続けた。

『それに、気になる事があります』

──── パキンッ・・・───

『へぇ・・・止められるんですね』
ラトは自分の武器である短剣をユーハンに投げたが、ユーハンはそれを避けずに剣で止めた。

『・・・ラトさん・・・でしたよね?別に私は戦いたくて来たわけではありません』
困った顔をしたユーハンは剣をしまいながら、ラトに優しく話しかけた。
『面白い人ですね。サルディス家の人間にしては気に入りましたよ?』

『ちょっと、ラトっ!!ユーハンに失礼だから仲良くして?』

主はラトの腕を掴んで、二人の会話に割って入った。

『大丈夫ですよ。主様。これは単なる"演技"の一環です。そうですよね?シノノメさん?』
『・・・え・・・えぇ。そうですね』
『ユーハン、無理に言わされてるよね?』

主とラトがたわいもない話をしてある間、ユーハンは自分の手を見ていた。

わざと急所を外して、止められるか止められないかぐらいの速さで短剣を投げた。
力を見定める為?

ユーハンはそっとラトの方を見ると、不敵な笑みを浮かべていた。

サルディスの犬

『私に何か話したい事があったようですが、なんの用でしょう?シノノメさん』

主が住んでいる世界に帰った後の話。二人は屋敷の見張り台に来ていた。


『単調直入にお伺いします。ラトさんは、戻ってくる気はありませんか?サルディスの地に』
『・・・』
『サルディスの現当主から話を聞きました。サルディスの悪魔執事がいる事を』
『・・・その他には何か聞きましたか?』

ラトは展望台の縁に腰掛け、短剣を器用にくるくると回しながらユーハンの話を聞いていた。

『いえ・・・他には何も』
『現領主がどんな方なのかは知りませんが・・・。随分と自分勝手な方ですね。手に負えないとグロバナーに預けておいて今更。そして、この時期に呼び戻そうとするとは』
『・・・私もそう思います』

ラトは短剣で遊ぶのを止めて静かにユーハンの顔を冷たい眼で見た。

『現領主の話ではなく。私は貴方の話が聞きたいです。そう思うなら、何故従うのか?』
『・・・私は・・・』

ユーハンは自分自身でも疑問を持っていた。仕えている人間がフブキだから仕方なく・・・。でも、それが正しい行動だとも思えずに、今こうして"敵"であるグロバナーの地にいるのだ。

『言っておきますが。私を飼いならせる人間なんてそんなに多くありません。主様やミヤジ先生ぐらいでしょうね。悪魔執事とは言え、主様の力がなければ天使戦では苦戦する事も多くあります。政治的な話には興味はありませんが、得策ではないと思いますよ?』
『そうですよね・・・』

ユーハン自身も分かっていた。ラト本人がサルディスに戻りたいなどいうはずもなく、かと言って悪魔執事の主を連れだす手段もない。そして、なにより・・・。フブキの考えが分からなかった。

『ですが・・・シノノメさんは人間臭くて嫌いじゃないですよ?』

ラトは短剣をしまうと頬杖をついてユーハンを見る。

『それは、褒めてもらっていると解釈していいのでしょうか?』
『私にしては褒めている方だと思いますよ?そうですね。領主がシノノメさんでしたら、話はまた違っていたかもしれません』
『・・・?』
『私の勘って結構当たるんですよ』

そう言ってラトは楽しそうに笑った。

優しさを捨てて得られるモノ

主が屋敷に帰って来てユーハンの姿を見つけると声をかけた。
『こんにちわ。ユーハン。浮かない顔しているけど、なにかあったの?』
『悪魔執事の主・・・。いえ。得には・・・』

ユーハンは昨日のラトとの話を思い出していた。何も言っていないのに見透かされている様な話し方をするラトの事を。

『ラトとユーハンは良い友達になれそうだよね』
『友達?』
『んー・・・。なんていうか、ラト自身が言っていたんだよね。気に入らなければそんなに喋る事はないって。だからユーハンはラトに気に入られてるんじゃないかな?』
『・・・そうだといいのですが』

ユーハンはそう言って目を伏せた。
自分にとっての悪魔執事の主は領主であるフブキとは全然違う存在だ。
悪魔執事13人全ての人間に慕われ、大切にされ愛されている。

『あ・・・そうそう。ユーハンちょっと私の部屋に来てくれる?』
『?』
『折角のハロウィンなんだし、ユーハンも仮装をしてみない?』

主はユーハンの手をそっと握るとにっこりと微笑んだ。

『ですが・・・私なんかが・・・』
『折角のお祭りなんだし、楽しまないと損でしょ?それに、フルーレも張り切っていたんだよ?』
『・・・そこまで言うなら』
『じゃぁ、こっちに来て』

少々困った顔をしたユーハンが主の後をついていく。

『よしっ♪こんな感じかな?』

主の自室で待機していたフルーレがユーハンの全身が見える様に鏡を持ってくる。

『私に似合ってますか?』

ユーハンが恥ずかしそうに服の袖で顔を半分隠しながら訪ねる。

『ユーハンさんは、オオカミと言うより狐の方が似合うんじゃないかと思って。そんなイメージで作ってみたのですが・・・・』

人見知りの激しいフルーレは頬を赤くしながらユーハンに説明をしている。

『うんうん。良く似合ってると思うよ』
『主様がそう言ってくれるなら俺も嬉しいですっ♪あ・・・いえ。その、ユーハンさんがいてくれたからであって、だから服が作れたわけで・・・』
『フフフっ』

主とフルーレの会話を聞いてユーハンは自然と笑顔になった。こんな風に会話を聞いて笑ったのは何時ぶりだろう?

そう思った時に、ドアが静かに開く音がした。

『おやおや?主様にフルーレ。それに、シノノメさんの声が聞こえると思ったら、私抜きで皆さんで楽しんでいる様子ですね。フルーレ。そう言う時は兄であるこの私を呼んでくれないと、寂しいですよ?』

ラトが寂しそうな顔をして主の部屋に入ってきた。

『ちょっとっ!!ラトっ!!主様のお部屋なんだからノックくらいしなよっ!?それに、何回も言うけど、ラトは俺の兄じゃないでしょ!?』
『これはこれは。狐さんですね。フルーレが作る服はいつも良いセンスをしています』

ラトはユーハンの狐の耳に触れた。

『ラト・・・ちょっとは俺の話きいてくれる?』
『ねぇ?主様。昔、私に話してくれたお話がありましたよね?確か、狐の妖怪がいる・・・と』

ラトは主の方を見て何かを考えている様子だ。その後ろでは、話を聞いてもらえないフルーレが頬を膨らませて怒っている。

『確か・・・。妖狐のお話かな?』
『ようこ?』

言葉をしらなかったフルーレが目を丸くして聞き返す。

『妖狐っていう、狐の妖怪がいてね。その狐さんは姿を変えて人を騙すとされているんだけど・・・』

主はフルーレに分かるように手短に説明をした。
ユーハンはその話を聞いて、鏡に映った自分の狐の耳の仮装を指で優しく触れた。

『シノノメさん?どうしました?』

その行動を見ていたラトがユーハンに話しかける。

『いえ。悪魔執事の主の世界にもサルディスに似た話があるんだなと思って聞いていました』
『シノノメさんは、私たちを騙しますか?』
『え?』

ユーハンはラトの言葉を聞いてびっくりしたよう目を見開いてにラトに視線を移した。

『そんなに驚かなくても大丈夫ですよ?狐さんには人を騙す妖怪と言うモノが存在するようですから。聞いてみただけです』
『私は・・・そんな・・・』
『もう。ラト。あんまりユーハンさんを困らせちゃ駄目だよっ!!』

フルーレはユーハンとラトの間に入って話を遮ろうとするが、ラトは楽しそうに話を続けた。

『シノノメさん。貴方は優しすぎます。もっとこの世のモノとは思えない絶望を味わってください。そうすれば、もっと強くなります。その時は私も改めて"ユーハン"さんと呼ばせてもらいます』
『だーかーらっ!!ラトは言ってる意味が分からないんだってっ!!折角のハロウィンなんだから、みんなで楽しもうよ』

フルーレはラトの頬を掴むとそれ以上喋れないようにした。

『ふ・・・るー・・』
『変な事言わないって約束したら離してあげるっ!!』

そんな様子をみて主はクスクスと笑った。

『悪魔執事の主はいつもこんな屋敷で生活しているんですか?』

ユーハンは、そんなフルーレとラトの様子を見て心配そうに主に話しかける。

『そうだよ。みんな仲間・・・と言うより家族って感じなのかも。私はみんなの事が大切だから』
『・・・家族・・・ですか』
『それはそうと。ユーハン。ハッピーハロウィン。ようこそ。デビルズバレスへ♪』

ふと、ユーハンは主の髪にを見るとユーハンからもらった椿の紅い花が飾られていた。

おまけヾ(・ω・*)

という訳で『シノノメ・ユーハン』さん編でした。
なんか、フブキの駒にしかみられてなさそうな(´・ω・`)

絶望→悪魔執事になったら面白いなとか思ったんだけど、そんなに悪魔になる人間は少なそうな感じ。

ユーハンが執事になったら、ベリアンに執事とはなんたるかを仕込まれて、ラトに弄ばれるのも面白いなと。
ルカスとは真面目な話をしそうな感じ?

何となくだけど、すぐに屋敷の皆とすぐに仲良くなれちゃいそうな感じはしますよね♪

最後までよんでくださって有難うございました♪ゆいなでした♪

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