【あくねこ】満月の夜 消えない罪【SS】

2022年7月3日

こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです☆

今日は【あくねこ】ラトの過去 考察(こうかもしれない)と思って書いていきたいと思います。

ダークなお話が嫌い、落ち込みやすい人は回れ右ヾ(・ω・*)

という事で語っていきますね♪

スポンサーリンク

かつて、ラット(ねずみ)と呼ばれた少年。

『コイツまだ生きてんのか?』
『意外としぶといな・・・』

男の数名の声が周りで聞こえる。
息をするだけで精一杯の少年は、うっすらと目を開く。

『お前、運が悪かったよなぁ。なんで、あんな所に一人でいたの?』
そう言って1人の男が少年の身体を蹴り上げる。

『いっ・・・』

うずくまる少年を見て
『おぃ。もうその辺にしておけよ。本当に死んだら研究の意味がなくなっちまうだろ?』
と静かに言った。

『おい。坊主。恨むならあの日、あの森の中にいった自分自身を恨む事だな』

──あの日?僕は・・・森の中に確かに入っていた。
でも、どうしてそれだけでこんな事に・・・・?

カシャンっと鉄の扉を閉める音が聞こえた。

人が去った後に、静かに呼吸をする・・・。
埃とカビの匂いがするジメジメした場所。

身体全身が痛い・・・。

『これは、また酷くやられましたねぇ・・・』

その人物は扉を開け、少年を処置し始めた。

『あぁ、大丈夫ですよ。私はキミを攻撃したりしません。とは言っても、こうして治療をするとで苦痛が続く訳ですから・・・キミにとっては地獄かもしれませんねぇ・・・ラットくん』

──ここにきて、何日がたった?みんなは無事だんだろうか?──

─研究室─

『やっぱり、精神的な苦痛をあたえる方が効率的なのでは?』

一人の研究員が発言した。

『精神的なダメージねぇ・・・。ラットにとって何が精神的なダメージなのかと言うのは不確定です』
『そうですね・・・』
『となると、こちらで絶望を作り上げるしかありませんねぇ』

研究員たちが顔を見合わせる

『不可能なのでは?』
『まぁ、そうかもしれませんが。上の命令は天使に対抗できる人間を作り出せとの事なので』

そう言ってその人物は資料を何枚かめくった。

『ん~・・・まぁ、使えそうなモノはあるのですが、私、一個人として賛同しかねますね』
『その方法は?』
『・・・』

その人物は何も答えずに研究室をあとにした。

アーティとの出会い

少年は横になりながら静かに目を閉じて、ここに連れてこられる前の事を思い出していた。

──あの日、みんなで森に行く事にしたんだ。日差しが柔らかく降り注いで・・・。
風が気持ちよかった。誰が森に行こうって言ったんだっけ?

あぁ、あの子か・・・。
酷い事されてないといいな・・・。
皆に・・・会いたいっ・・・!!──

そう思うと顔が歪むが、涙は出てこない。
泣いても無駄な事は少年が一番知っていたし、泣いたりわめいたりする事でもっと酷い目に合わされるのも分かっていた。

コツコツコツと靴の音が聞こえる。

少年がいるドアの前でその音が止まると少年に話しかけた。

『こんにちわ。ラットくん。お休み中だったかな?』
そう言って鉄の扉を開ける。
『もしもーし。お話しできる?』
『・・・ぁ・・・・』
『よしよし。お話は出来るみたいね』
『・・・』
『私はアーティ。これから、ラットくんの治療担当。だから、そんなに警戒しなくても大丈夫よ?』

アーティと名乗った女性は静かに少年の元に座った。

『はいー。握手ー♪にしても、凄いねココ。かび臭いし埃っぽい。なんて言うか、本当に牢獄って感じよね~』
少年は、強制的に握手をさせられる形になる。

──1ヵ月後──

アーティのおかげで元気になった少年は、戦闘の訓練ができるまで回復していた。

『ねぇ。アーティさん。どうして治療しくれたの?』
『さぁねー?』
『そうやって、いつもはぐらかす・・・でも、一つだけ聞かせて欲しい事があるんだ・・・』
『なぁに~?』

アーティは少年の顔を覗き込む。

『・・・僕と一緒にきた子たちは、みんなどうしてるの?』
『・・・』
『・・・生きてるのかな?』

そう言って少し寂しそうな顔をする。

『生きてはいるわよ~?』
『ホントにっ!?』
『ほんとに~。さぁさぁ、いつまでたっても戦闘技術が上がらないラットくんにはもう少し頑張ってもらわないと情報教えないよ~?』
そう言アーティが言うと、少年は武器を握り直す。

『アーティさん!!ありがとう』

(子供は純粋よね・・・)

そう思いアーティは遠目で少年を見ながら寂しそうな顔をした。

逃亡と攻略

『その話・・・本当なんですか?』

少年はアーティの耳元で小声で話す。

『そうそう~。満月の夜って警備が少ないの。ラットくん一人なら逃げられると思うわよ?』
『でも、皆が・・・』
『まぁ。どうするかはラットくん次第よね~。後3日で満月の夜だから。それまでに考えておけばいいんじゃない?』

アーティはいつもはかけていない眼鏡を胸ポケットから取り出すと、眼鏡をかけ少年を見る。

『コレは私からの助言。もしその子たちが逃げないようだったら・・・置いていきなさい』

何時もの声とは違い、低い声で少年に向かって話す。

『・・・』

少年は少し考え

『それでも、僕は皆を助けたいって思う』
と答えた。

『まぁ~。ラットくんがそう思うなら仕方ないけどねぇ~』

アーティはいつもの声色に戻るが真剣な表情は崩さなかった。

『成功するといいわね。これは餞別。バレないように持っていきなさい』

と少年に短剣を渡す。
そうして『生き抜きなさい』と声をかけた。

暗闇と青白い月の光

──三日後 満月の夜──

少年の鉄の扉はアーティが開けてくれていて、逃げるのが可能な状態になっていた。
他の部屋の牢屋の鍵もアーティが置いていってくれていた。

(アーティさんって、なんで僕そんなに優しくしてくれるんだろう?)
そんな事を思ったが、時間がない。

皆が捕まっている部屋へと急ぐ。

──ガチャ──

『みんな早く逃げてっ。今日は満月だから、警備も少ないはずですっ!!さぁ、早くっ!!』
『・・・いかない』
『・・・どうして?』
『どうせ捕まったら酷い事をまたされるもん・・・・』
『だからって、ここで死ぬよりはっ!!』
『・・・もう・・・いいんだよ。ほおっておいて』

そのと言葉をきいて、少年は固まってしまう。

数人がコチラに向かってくる音が聞こえる。
『ラットくん!!しっかりしてっ!!逃げて。早くっ!!』
アーティがいち早く少年の元に駆け付け、肩を揺さぶる。

『・・・皆が・・・行かないって・・・』

それを聞くとアーティは少年の頬を叩いた。
『貴方は逃げるのっ!!』
『でも・・・』

その間に兵士たちに囲まれてしまう。
『アーティ医師、コレはどういう事だか説明してくれるかな?』
『治療の一環です』
『ほほぉ?有力な適合者を逃がすのが治療だと?』
『・・・』

アーティは素早く太ももから短剣を取り出すと、一人の兵士に切りかかった。
『早くっ。逃げなさい・・・っ』
『ちっ・・・裏切者が!!殺せっ!!』

アーティのいつも見せない一面を見ていた少年は我に返り
『僕も手伝いますっ!!』
と言って、アーティからもらった短剣を手に取る。
『駄目よ。ラットくんは私より弱いし・・・・数が・・・っ!!』
アーティは相手を倒す事で手一杯の様だった。

『でも・・・』
『逃げるのよっ・・・!!』

──グサッ──

その瞬間アーティの機敏だった動きが止まる。
『アーティさん!?』
少年は、アーティに駆け寄る。

『捕らえろっ!!』

大勢の兵士たちが少年をとらえようとした瞬間だった。

少年の周りをどす黒い紫の光が包み込む。

『──!?』
『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
少年は叫び声をあげて、兵士たちに切りかかった。

兵士の数は瞬く間に減っていく。

『全員退避っ!!退避だっ!!』

逃げようとした兵士も後ろから、切りかかっていく少年。

『・・・頼むっ!!命だけは・・・っ』
最後に残った一人を追い詰めると兵士がそう言った。
『・・・』

無言で首を目掛けて短剣を刺す少年。
そうして、くるりと背を向けアーティに駆け寄った。

誰もいない牢屋

『アーティさんっ!!しっかりしてくださいっ!!』

少年はアーティを抱き起そうとするが、アーティ自身がその行為をやめさせる。

『多分~・・・もう無理だと思うのよね~・・・・』
『こんな時までっ!!ふざけないで下さいっ!!』

『だって、視界ぼやけてるし~・・・なーんで逃げなかったのかなぁ・・・もぉ。カッコ悪いトコロ見られちゃったじゃない・・・』
そう言って少年の髪を静かに撫でる。

『アーティさん・・・っ。しっかりしてください!!僕なんでもしますからっ!!よく分かんないのに、優しくしてくれて・・・。まだ、お礼も恩返しも何もできてないじゃないですかっ!!』

少年の目から涙がぽろぽろ落ちている。

『弟に・・・似てたんだよね~・・・・』
そう言ってアーティは力なく笑った。

『私、一つだけラットくんに伝えてない事があるんだ・・・』
『なんなんですか・・・。こんな時にっ・・・』


『キミ以外・・・捕まった子っていないんだよ・・・』
『え?』
『ラットくんとお話してたのは、ラットくん自身なんじゃないかな・・・。私には誰もいるようには見えないもの・・・』
『うそ・・・だ・・・。あの日皆と森へ行ったんだ。ちゃんと話もした・・・それなのにっ・・・。じゃぁ・・・僕のしてきた事って・・・!?』

アーティは咳をすると、苦しそうに肩で息をする。
『ねぇ・・・ら・・・と』

──自分のせいで人が死ぬって言うのに、あなたはただ眺めているだけなんですね──

少年の頭の中に声が響く。

──力が無ければ生き残れません。この世界は残酷で、そのように出来ています。彼女にはその力が無かったのでしょう──

力?僕には守れる力が無かった?

──当たり前でしょう?現に彼女の壊れた姿があるのですから──

僕は彼女に守ってもらって、生きている・・・。

──それは滑稽な話ですね。なんなら、そこに転がっているのは貴方でもおかしくなかったワケです──

一番いらないのは・・・自分・・・?

──自分で決めたのでしたらご自由に。私は判断する立場にいませんから──

少年は短剣を握るとアーティを目掛けて構える。

それをみたアーティは少しびっくりしたような顔をしたが、静かに目を閉じてその瞬間を待っているようだった。

『・・・ありが・・・と』

彼女の最後の言葉を聞くと、次は短剣で自分の身体を無数に傷つける。

──これで、気が済みましたか?──
『・・・』
憔悴しきった少年の手から短剣が滑り落ち音を立てた。

──おやおや。自分まで壊れてしまうとは。まぁ、それもまたいいでしょう。創られた存在とは、脆いものですね──

『ふむ・・・』

彼は試しに、手のひらを握って力を込めてみた。

『満月の夜にはアナタに身体を返してあげましょう。それが私の力になるのですから、この痛みはずっと忘れない様に。まぁ、その時は私は覚えてないんでしょうけど・・・』

落ちた赤く染まった短剣を拾い上げると、残った人間を探して彼は走っていく。

ラトと言う少年

『研究所の兵士が全て死亡、研究員も重体・・・だから、賛同しかねるって言ったのに・・・』
その人物は報告書に目を通しため息をついた。

『ですが、結果的には成功なのでは?』
『犠牲は多すぎたけどね・・・』

今日は執事が少年を迎えに来る日だ。
活気のない研究室にミヤジがくると
『はじめまして。私はミヤジだ。君の名前はなんて言うんだい?』と優しく声をかけた。

少年はアーティの最後の言葉を思い出していた。
『ねぇ・・・ら・・・と』『・・・ありが・・・と』

──ラトと言う名前も悪くないかもしれませんね。

『・・・ラトですねぇ』
『そうか。ではこれら、ラトくんと呼ばせてもらうよ』
手を差し出し握手をしようとしたミヤジの手をラトは冷たい視線で無視する。

そうして、ラトのデビルズパレスの生活が始まった。

おまけヾ(・ω・*)

私が考えるラトくんの過去編でした♪

『その人物』って出てきますが、ルカスさんもありなのかなぁ?なんて思ったり。
そうすると、ミヤジが先にデビルズパレスに入っている事になるので

『時系列が変わっちゃうじゃん!!』

という事で『その人物』にしてみました。

ラット=ネズミに関しては、初期は『ロット』(ロットナンバー)にしようかなと考えたのですが
『よく思われない』『汚らしい』事からラットに。

仕事の休憩中にネズミさんがガリガリやってる音も聞こえたので『ラットで確定!!ヾ(・ω・*)

ラトくん、幸せになれる日がくるんでしょうか?
最後まで読んで下さって有難うございました♪ゆいなでした。

スポンサーリンク