【あくねこ】ちょこっと大人のバレンタイン3(/ω\)♡【SS】

コチラはSS『悪魔執事と黒い猫』(あくねこ)の『ルカス』と『ナック』編になりますヾ(・ω・*)♡

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【ルカス】駆け引きと知恵

『主様。なんでこんな無茶を?』

いつもは優しい口調のルカスだが、今日は違って厳しい口調だ。

『えっと・・・みんなに守ってもらうだけじゃなくて、私もみんなの力になりたくて・・・』

ルカスは、慣れた手つきで手首に包帯を巻いていく。

『主様の元の世界で何か嫌な事があったのでしょうか?』

そう言うとルカスが静かに溜息をつく。

『そういうんじゃなくて・・・。みんなに戦わせてばっかりで、申し訳ないなって・・・』
『主様。私を含め、屋敷の皆さんは主様が来てくれただけで嬉しいですよ?』
『・・・』
『コレで処置は終わりです。痛み止めのお薬を調合しますので少し待って頂けますか?』

『・・・やっぱり、私って足手まといなのかな?』

私は俯き加減で手首に巻かれた包帯を見ながらそう呟く。

『主様?』
『皆に守ってもらうばかりで、皆に辛い思いをさせてっ!!私はもっとみんなの役に立ちたいのに・・・っ』

両手を力強く握ると、手首に痛みが走る。

─少し前 デビルズパレス 庭園─
ハウレス、バスティン、ロノが訓練をしている。

ハウレス『主様?何か御用でしょうか?』
『私も、訓練に混ぜてくれないかな?』
ロノ『えっ!?主様が!?』
『うん。みんなにばっかり戦わせてるのは嫌なの・・・』
バスティン『主様は俺が守るので、心配しなくていい』
ロノ『そこは俺だからっ!!主様、オレが守りますので心配しないで下さい』

二人の言い争いを遮るようにして

ハウレス『主様。私たちは、主様が来てくれただけで感謝してるんですよ?これ以上、危険な戦いに巻き込むわけには・・・』
『教えて欲しいの』
ロノ『主様、危ないですよ!?』

私は近くに置いてあった木刀を手にする。

ハウレス『あ・・・主様っ!?危ないっ!!』
『えっ・・・?』
普通の木刀だと思って持ったものは、とてつもなく重かった。
『私にだって・・・このくらいっ!!・・・いっ・・・』

─3階 医務室─
『主様。物事には順序と言うモノがあります』

ルカスは、私のきつく握った手に優しく触れながら言う。

『でも・・・皆に戦わせてばっかりの弱い自分が嫌だと思うのは我儘なのかな?』

私は涙声になり、鼻の奥がツンとするのが分かる。ここで泣いたら駄目だ・・・。

『うーん。困りましたねぇ・・・』
『・・・』
『精神的に安定するお薬ならご用意できますが・・・。主様はそれを望まないでしょう?』
『・・・』

静かに頷く。

『人間の強さと言うのは、大きく分けて3つあります。1つは痛みを受け入れ、成長する事。2つ目は人の痛みを理解し受け入れてあげる事。3つ目は・・・』
『3つ目は・・・?』

真面目に聞いていた私は聞き返す。

『さぁ・・・?なんだったでしょう?私も歳をとったので。忘れちゃいました♪』
『・・・からかってるでしょ?』
『いいえ。主様をからかうなんて事はしませんよ』

いたずらっぽくルカスが笑う。

『もぅ!!ルカスなんて知らないっ!!』

私は怒って椅子から立つとそのまま自室にもどった。


─デビルズパレス 自室─
急いで自室に帰ってきた私は扉を閉め、テーブルに目を向ける。

『ルカスに・・・プレゼントするつもりだったのにな・・・』

綺麗にラッピングされたパウンドケーキが涙で滲む。

『なんでいつも上手くいかないんだろう・・・?どうして・・・みんなの足を引っ張ちゃうんだろう・・・っ』

私はベットの縁で静かに泣いた。

─少し後─
『あれっ?』

外は真っ暗になっていて、窓からは青白い月の光が差し込んでいる。

『私、そのまま寝ちゃったんだ・・・』

『お目覚めですか?主様』

不意にルカスの声が聞こえる。

『!?』
『主様の事が心配で来てみたのですが、お休みになっていたようなので様子をうががっていました』
『・・・』

泣いた後で寝てしまった顔はとてもじゃないけど、ルカスに見せられない。

『主様?他に痛い所でも?』
『ないですっ!!』
『そんなに怒らなくても。主様の寝顔は可愛かったですよ?』
『・・・』

ルカスがテーブルの近くに行きそっと包み紙を持ち上げる。

『主様がお休み中。失礼だと思ったのですが、いい香りがしたので中身を見させていただきました』
『えっ・・・』
『美味しそうなパウンドケーキが入っていまして・・・』
『・・・』
『食べたくなってしまったのですが・・・我慢しました・・・』
とても残念そうな声で俯くルカス。

その姿を見て、くすっと笑って
『それは、ルカスにプレゼントしようとしたパウンドケーキだから』
と答えた。


『本当ですか!?主様!!』

子どもの様にはしゃぐルカスを見てると、私は天使と戦う力はないかもしれないけど・・・。少なくとも、ルカスの役には立ってるのかもしれないと思える。

『主様。素敵なバレンタインを有難うございます♪そして・・・3つ目の答えも主様自身で見つけられたと思います。人は支え合って生きるものですから・・・主様の笑顔はみんなを元気にさせてくれます』

ルカスの真面目な言葉と、パウンドケーキを持って喜ぶ姿のギャップが面白くて笑顔になる自分がいた。

【ナック】オレンジの香りと花言葉

『ねぇ、ナック』
『はい。主様』
『ナックは未来の事とか不安にならないの?』

私は好奇心からこんな質問をしてみた。

『主様は未来に不安をお持ちなのですね?』
『・・・不安がないって言ったら噓になるかな・・・』
『いい事をお教えしましょう。未来はどうせ予測できません。それならば、今ある現実を懸命に生きた方が不安が無くなると言うものです』
『そうかもしれないけど・・・』
『不安と言うのは、本来人間がもっといい方向に生きる為の知恵です。不安であれば今を変えるしかありません』

『ナックって難しい事言うよね・・・』
『現実的と言ってください。私は今ある物や人に感謝をして生きていますから』

ナックが言ってる事は間違ってないし、ごもっともなのだ。
でも、日常に帰れば私は魔法がとけたかの様に、朝起きて、食事を作り、仕事に行き・・・。

指輪をはめればココにいる。

ナックが静かに口を開いた
『主様。美しさと言うのはどういうモノか考えた事がありますか?』
『・・・美しさ?』
『はい。私は美しいモノがとても好きなのです。その時、その瞬間に自分が感じたものを美しいと表現しています』
『つまり、自分が好きとか嬉しいとかポジティブって感じた事でいいのかな?』
『流石は主様。私は美しいものを褒めるたびに、自分のそう感じる心も褒めているのです』

美しいと思える心・・かぁ・・・。

ナックが美しいと言う時は綺麗な花を見た時や、ロノの作るオランジェットを食べる時そして・・・

『主様。とても美しいですよ』

とナックが眼鏡を指で上げながら言う。

『私は、そう思えるナックの心が素敵だと思う』
『主様はお優しいですね』
『えっとね・・・ナック。実はコレを渡そうと思って・・・』
『おや?私に?』
私はナックに手作りのオランジェットをプレゼントする。

『主様が私に?手作りのオランジェットを・・・』
『・・・味は期待しないでね?ロノの方が美味しいと思うし・・・初めて作ったから・・・』
『主様オレンジの実の花言葉をご存じですか?』

ナックはオランジェットを大切そうに一枚出すと、少しだけ高く持ち上げ私に聞く。
『オレンジの実・・・?』
『そうです。オレンジの実には美しさと優しさと言う花言葉があります』
『美しさ・・・』

ナックはオランジェットをまた包み紙にしまうと

『美しさと、優しさを兼ね揃えた・・・。まるで主様の事を言ってるようなものですね』
『私は・・・ナックが思ってるような人じゃない思う』
『いいえ。主様は、美しさと優しさを兼ね揃えていて。何かあったらすぐにでも駆けつけて助けてあげたい存在です。このナック。主様の為なら何でもいたします』

そして付け加えて・・・
『そんな主様の事を、愛おしく思います』
と満面の笑みで言った。

おまけ

最後まで読んで下さって有難うございました(/ω\)♡
お口に合えば幸いです。

以前はこんな作品を書いています。
参考程度に
【あくねこ】ちょっと大人のバレンタイン(/ω\)♡【SS】(ハウレス ラト)
【あくねこ】ちょっと大人のバレンタイン2(/ω\)♡【SS】(べリアン フルーレ)

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