【あくねこ】それは、月の綺麗な夜だから【SS】ラト編

2022年7月19日

こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです☆

今日は(も?)悪魔執事と黒い猫【あくねこ】のSSでラトの話を語って行こうと思います。

ちょっと暴力的な事が入っています。
苦手な方は回れ右でお願いします☆

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壊れたモノ、戻らない時間

『壊れたモノは元にはもどらない。だから綺麗なのだと・・・そう思のです』

その言葉は、満月の前日の夜にラトが主に伝えた言葉だった。

ラトは自分自身が満月の夜には自我が保てなくなる事が分かっていたし、主も理解していた。

満月の夜の事。

主はラトのいる部屋から執事たち全員を外に出すと、静かにラトに近づいた。

ラトがいる部屋は花瓶が割れ、壁紙はボロボロになって何時もの落ち着いた地下の部屋だとは思えない程だった。

壁に所々赤い薄い血の跡があるのはラトのものだろうと安易に想像できた。

『僕を・・・殺すの・・・?』
『殺さないよ』
『じゃぁ・・・何でここにいるのっ!!』
『一緒にいたいからだよ』
『嘘つきっ!!』

ラトが持った短剣は主の頬をかすめて、少しだけ髪の毛を切り落とす。
主の頬からはすっと一筋の赤い線ができ、それは次第に、床に一滴、また一滴と零れ落ちでいく。

『ねぇ!!なんで!?なんで、僕の傍にいるの!?殺してよっ!!』

ラトは主を首を片手で押さえつけ、床に叩きつける様にして押し倒し馬乗りになった。
主は上に乗っているラトの髪を静かに撫でると、ラトは何が起こったのか分からないと言う表情をし、目を見開き、肩で大きく呼吸をしていた。

『ねぇ。ラト。私の前ではありのままのラトでいいんだよ?』
『!?』
『怖かったら逃げてもいいし、嫌だったら壊してもいいよ。ラトの好きにしていいんだよ?』
『うあぁぁぁぁぁぁっ!!』

ラトは短剣を床に叩きつけると、ソレはくるくると回り、ある一定の速度になるとピタっと止まった。

『ラト!?』
『ぼ・・・くは・・・・わ・・・っ・・・あ・・・るじ・・・・さ・・・・ま?』
『・・・』

主は静かに泣いていた。
怖かったからではなく、悲しいからでもなく、ただ、ラトの辛さをどうにもできない自分が無力だなと思ったからであった。

『・・・ある・・・じ・・・様なんで・・・・泣いて・・・ですか?』
途切れと切れのラトの声は必死に自我を失わない様にしているのが分かる。
『いいんだよ。ラト。無理しないで』
『・・・・っ』

ラトは震える手で主の頬の傷を触る。

『もしかして・・・・私・・・が?』
『・・・』
『・・・ごめ・・・んね・・・・っ』

何時ものラトの様に笑うが、作り笑いだという事はすぐ主にも分かった。

『辛いよね?ラトは辛い時は辛いって言っていいし、泣きたい時は泣いてもいいんだよ?その時は、私が一緒にいるから』
『・・・主様・・・は・・・』
『ん?』
『優しすぎる・・・・んで・・・すよ・・・』

そうして、ラトは気を失った。

消毒の匂い、見慣れた風景。

『ん・・・』

ラトが目をあけるといつも通り、体中に包帯が巻かれ所々鋭い痛みが走る。

動けない程ではなかったが、ベッドの横に座りうたたねをしている主を起こさない様にしようと身体は動かさないようにしていた。

(どうして、貴女はそんな無茶ばかりするのでしょう?私なんかの為に・・・)

ラトにはつい先ほどの出来事の様な気がしていたが、太陽は空高く昇り、鳥の囀りが聴こえる。

主の髪がサラりと落ちて、ラトはそれを耳にかけようとして手を伸ばしたが、いつもと違う髪の長さに気づくとその手を途中で止め、また自分の方に戻した。

『・・・ラト・・・?』
『お目覚めですか?主様』
『身体は大丈夫?』
『私は大丈夫です。どうして、主様はそんな無茶をしたのでしょう?私は満月の夜になると、自我が保てなくなります。それは、主様も知っているハズです』
『・・・自我が保てなくなるって事は本心でしょ?』
『それは、私にもよく分かりません』
『私は、どんなラトでも味方でありたいと思って・・・ラトがそうしてくれたように』
『どうして?』
『ありのままの自分って、結構むずかしいでしょ?ラトは何時も"ありのまま"でいて欲しいって私に言うけど』
『そうかもしれません・・・』

ラトは少し考えると

『でも、私は朧気な記憶しかありません・・・』

と申し訳なさそうに主に話した。

『それでも、大丈夫だよ。私がこれから満月の夜には一緒にいるから』
『それは、どういう意味でしょう・・・?』
『ラトが覚えてない事は私が覚えておいてあげる。だから、ラトはこのままでいいんだよ』
『主様がその度に、こうして傷つくのに?』

そう言ってラトは、主の傷ついた頬を優しく触る。

『これは・・・。単なる事故でしょ?』
『主様は私が怖くないんですか?』
『怖くないよ?』

即答で返す主を見てラトは少しだけ笑った。

『本当に・・・。主様は優しい方ですね』
ラトはベッドの上で膝を曲げるとその上で両手を組み主を見ていた。

最初は興味がなかった。

すぐ泣くし、落ち込むし、うさぎさんの様な人間だと感じていた。

ミヤジ先生との約束が無ければ、きっとすぐに壊してしてしまった、つまらない存在だったと思う。

それでも・・・。

こんなにも大切に思えるなんて思っていなかった。

傷つけたくなかった。

出来る事なら、その事に気づきたくなかった。

ラトはそんな事をぼんやりと考えていた。

『ラト?大丈夫?』
主の声でラトは我に返った。
『私は・・・ちゃんと主様を守れているんでしょうか?むしろ、主様に守ってもらっている様な気がします』
『ちょっと・・・このまま・・・で・・・いて・・・』
主はラトの手を優しく握ると、急に力が抜けたようにドサっと上半身をベットに預ける。

『主様?』
『大丈夫・・・安心したら・・・少し・・眠いだけだ・・・ら・・・』

首には赤黒い絞めつけられた跡がある。頬には痛々しい傷の跡。不揃いに短く切れた綺麗な髪・・・。

ラトは、全部自分がしてしまった事だと思うと"何より怖いのは自分自身ですね・・・"と思って静かに目を閉じた。

刃には刃を

『ラトくん少し、いいかな?』
目を閉じたラトに声をかけたのは、ルカスだった。

ドアが開いた音に気付かなかったラトは、ルカスの事を警戒した。

『ルカスさん。ご迷惑おかけして申し訳ありません』
『満月の夜は仕方がないさ。ミヤジ、入ってきなよ。ラトくんの事が心配なんだろ?』
『ミヤジ先生・・・』
『ラトくん。大丈夫かい?』

ラトは二人が揃ってくるなんて珍しい事もあるなと思っていた。

もし・・・自分自身に武器を向けられたのなら、ルカスさんからがやりやすい。
大鎌を振る時には隙が出来るし、リーチが長い。そして、振られた鎌を踏み台にして・・・上に飛んで、後ろに回り首を・・・。

『ルカスさん、ミヤジ先生。珍しい組み合わせですね。二人そろって・・・私に何の御用でしょうか?』

ミヤジ先生の武器は刀・・・。
ミヤジ先生は背が高い。振られた刀を片手で押さえて、それから足を狙う方が効果的ですね。太ももの付け根あたりがいいでしょうか?

・・・ミヤジ先生はそんな事をしない。

でも、もしされたら・・・。

私はそれなりに、牙をむくでしょうね。
でも、壊さなければずっと傍にいてくれますよね?

ラトはそんな事を考えながら何時もの様子で二人を見ていた。

『主様の事なんだけど・・・』

ルカスはそう言うと、ラトのベットの足元でスヤスヤと寝息を立てている主を見た。

『申し訳ありません。守るはずが傷つけてしまって。そして、私はめんどくさい事が嫌いです。単刀直入に聞きます。私を消しに来ましたか?』

『いや。違うんだよ。ラトくん。これは主様が望んだ事なんだ』

ミヤジは優しくラトに話しかけた。少なくともこういう時は武器を握る必要はないという事をラトは理解していた。

『主様が望んだ事?』
『主様が満月の夜のラトくんを止めたいと言ってね。あの日は執事たち全員ラトくんの傍にはいなかったんだよ』
『主様一人で・・・?』
『最初は反対したんだけどね・・・主様がどうしてもって・・・』
『どうして・・・?』

ラトの質問を聞き言葉につまるミヤジに代わりルカスが話し出す。

『私たちも詳しい事は分からないんだけど、過去の主様の事に関係しているんじゃないかな?まぁ・・・深く聞く事は出来ないけど・・・。結果的に、ラトくんの発作は今回、異例の速さで治まったのは確かな事だよ』

『・・・ルカスっ!!』

ミヤジはルカスを鋭い目つきで見て嫌悪感を示す。

『これは、医療に携わる人間から見ての話だよ。主様には傷ついて欲しくない、ラトくんにも傷ついて欲しくない。どっちも取れればいいんだけどね』

ルカスは静かに寝息を立てている主を見ると
『主様の為に必要な薬を作ってくるよ』
と言って部屋を後にした。

先生と生徒

『さて・・・ラトくんはどうしたいんだい?』

ルカスが部屋を出ていった後に、ミヤジはラトに優しく声をかけた。

『私は・・・傷つけるのならば、傍にいない方が正しいのではないかと思います』

『それは、ラトくんの本心なのかな?』

ミヤジは絵本を読む時と同じ口調で話しかける。

『・・・』
『私も不器用な人間だから、上手く言葉にできるか分からない。だけど、人は逃げてる場所に戻って戦わなければいけない日がいつか来るものだと。そう思っているよ』
『ミヤジ先生は逃げていると思う場所があるんですか?』
『みんな誰しもが持っている秘密の場所があるんだろうね。もしかしたら、主様は今そう言う場所と戦っているのかもしれない。時間と場所は違うかもしれないが。似ている場所と・・・』

ラトはその話を聞くと、何かを思いついたように話し出す。

『ねぇ・・。ミヤジ先生。うさぎさんは、豹さんに勝てますか?』
『普通に戦ったら勝てないだろうね』
『逃げないうさぎさんはいつか・・・』
『ラトくん。兎に知恵と勇気と行動力があったらどうだろう?』
『・・・ふむ』
『可能か不可能かは分からないけど、兎が付けた小さな傷が豹にとっては結果的に致命傷になる可能性もあるんじゃないかな?』
『うさぎさんもなかなか手ごわいですね』

ラトは豹を自分、兎を主に見立てて話したが、ミヤジはそれを知ってか知らずかラトの満足いく答えを答えてくれたようだ。

『分かりました。ミヤジ先生。私はこれからも主様をお守りする刃になります。もしその刃が主様を殺そうとした場合は、ミヤジ先生が刃を壊してください』
『・・・ラトくん』
ミヤジは何とも言えない表情をすると、両手に拳を作りギュッと力を込めた。

満月の日を楽しみに

それから日が経ち、主たちの傷が癒えてきた頃。

主は昔の事を思い出していた。
ラトに初めて会ったのはグロバナー家が主催する舞踏会の会場だった。
ラトはその時の主の表情を『怯えていた』と言ったが、それは違っていて、主は『自分自身だ』と思っていたのだった。

『ねぇ、ラト今度の満月っていつだろう?』
自室に一緒にいたラトに尋ねると、ラトは自分の手帳を取り出し
『来月の12日ですね』
と答える。

『そっか♪仕事休み入れておこうかなぁ・・・。ラトと一緒にいたいし・・・』
『どうして、人の事でそんなに一生懸命になれるんですか?』

手帳をパチンと閉じて、ラトは主を不思議そうな顔をして主を見た。

『んー?懐かしいから?』
『懐かしい?』
『昔一番困っていた時の自分を見ている気がして。勿論、ラトは苦しんでるのは知ってるよ?そんな時、私も傍にいてくれる人が欲しかったな・・・って。助けて欲しかったなって思ってるだけ。だから、ラトの傍にいたいなと思ってるんだ』

『では、私自身に自分を重ねている・・・という事ですか?』
『そうなのかもね・・・?』

ラトは主の事をうさぎさんのような人だと感じていたが、それは間違っていて、うさぎさんの皮をかぶった知識のある豹さんなんだなと思った。

『ねぇ。主様。私とずっと一緒にいてくれますか?』
『ラト?』
『私は質問の答えを待っています。一緒にいてくれますか?』
『勿論♪』

その答えを聞いてラトはクスクス笑うと次の満月を初めて楽しみだと考えるのだった。

おまけヾ(・ω・*)♡

2022.7.16にアプリのストーリー追加になりましたね♡
古の棟という事で7番目の棟についてからのお話になります♪

戦うラトくん

かっこいい~(/ω\)キャー♡

なにやら・・・ハウレスがヤバそうな感じもしますが・・・(´・ω・`)
今後の展開が楽しみです♪
(覚醒のミヤジかっけぇな・・・あれは反則♪)

最後まで読んで下さって有難うございました♪ゆいなでした☆

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