【あくねこ】忠誠と深紅の闇【SS】ラト編

2022年7月3日

こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです☆

今日はあくねこ(悪魔執事と黒い猫)の大好きなラトと主様の闇落ち、鬱話を語っていこうと思います♪

精神的に落ちている人、影響されやすい人、グロが嫌いな人は回れ右ヽ(・ω・)/
でお願いします♪

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純白の忠誠と深紅の闇

『今日は、執事のみんなと沢山お話したな』
『フルーレがまた張り切ってドレス作ってくれて、皆で笑いながらご飯を食べて・・・』
『幸せだな。私・・・。幸せなんだよね・・・?』

デビルズパレスの主は、夜一人で見張り台に来ていた。

空は満天の星空で、新月の様で月は出ていない。夏の生暖かい風が頬を撫でる。

『なのに・・・なんでかなぁ?』

デビルズパレスの主は元の世界から持ってきたポーチを広げると、中から何かを探し始める。

『カチカチカチっ・・・』

主は探していたものを手にすると、ゆっくり歩いて景色が良く見える位置に移動した。

──同時刻──

『?』

ラトが何かに気づいたように演奏をやめた。

『どうしたの?ラト?』

フルーレは心配そうにラトに話しかける。

『いえ。ですが、ちょっと行かなくてはいけないトコロが出来たようです』
『こんな夜中に!?まさか外じゃないよね!?ミヤジ先生にまた怒られるっ・・・』
『フルーレ。今は少しだけ静かにして下さい』
『ん・・・』

フルーレはラトの真剣な様子を悟って、口を噤む。

『・・・どうしたの?』

少したってから静かな声でフルーレがラトに尋ねた。

『事情は後で説明します。事は一刻を争います。行かせてもらいますね?いい子にしているんですよ?フルーレ』

ラトは手際よく武器を準備すると、走って部屋から出ていく。

状況のが読み込めないフルーレは頬を膨らませて

『ラトっていつもそうっ!!結局、俺だけ何も分からないままなんだからっ!!全く・・・ミヤジ先生になんて言えばいいのさ・・・』

ベットに勢いよく腰掛ける。

フルーレは自分の武器を見ると
『どうせ・・・俺が今から行ってもラトには追い付けないし・・・っ』
そう言って、枕に顔をうずめた。

──見張り台──

『カチカチカチっ・・・』

主の周りでしていた音は一定の長さで止まると、持っていたモノを自身の腕に押し当てた。

静かにソレを引くと紅い線が出来て、純白のドレスに紅いシミを作る。

──痛い?ううん?痛くない・・・温かい・・・──

『こんばんわ。主様。こんなトコロで何をしているんですか?』

背後からラトの声が聞こえ、主は持っていたモノを隠す。

ラトは何時もの表情はしておらず、鋭い目つきで主を見ていた。

『あれ・・・?ラト?こっちの世界に来ているのバレちゃった?』
主はラトの方を向き、笑顔で話しかけた。

『確か主様は急用があると言って、お帰りになったハズですよね?』
『・・・』

ラトは何も言わずに主の近くに足早に歩いてくる。
『ちょっ・・・』
『主様。お忘れですか?私は耳がイイんですよ』
『えっと・・・』
『主様がしていた事は予想がつきます。少々、手荒な行為になりますが、お許しください』

そうして、主の腕を思い切り掴んだ。

『痛っ・・・・』
『ねぇ、主様。私は自分が綺麗だと思っているモノが傷つくのは嫌です。そして、何よりそれが自分の大切なモノだとしたら・・・自分自身が壊した方がマシだと考えます』

そうして、ラトは主の首に自身の武器である短剣を押し当てた。

『私は主様がそうする理由について知りたいです』
『・・・』

力強く握られていた主の手からカッターが滑り落ちて、周りには小さな紅い雫が飛ぶ。
その後、カッターは床を滑りラトの足元まで行くと彼は思い切り踏みつけた。

──パキっ──

ラトの足の強さに耐え切れず、刃が折れる。
折れた刃は宙を舞い星空を反射させて、乾いた音を立て床へと落ちた。

『脆いですね。こんなモノでご自身を傷つけていたと?あまり面白くはありませんね』

『・・・私・・・』

主が口を開くと、ラトは首に押し当てていた短剣の手を緩めた。

『はい』
『・・・いなくなりたいとか、死にたいって気持ちは勿論あるんだけど・・・。今回のはそう言うんじゃなくて生きる為・・・なんだと思う。自分でもよく分からないんだよね。血を見ると安心する・・・って言ったらおかしいかな?』

主は紅く染まった片方の手で、短剣を押し当てるラトの手に優しく触れた。
主の腕から滴り落ちる雫が次第にラトの包帯を紅く染めていった。

『おかしいとは思いません』

そう言うと、ラトは主から手を離し武器をしまった。

いつの間にか、あたりは重い雲が覆っていた。生ぬるい風が二人の髪をなびかせる。

『雨が降りそうですね』
『・・・そうだね・・・』
『鳥さん達が内緒話をしています。主様も自室に戻りましょう。勿論、私も一緒に行かせていただきますね』
ラトは主の腕をつかみながら、足早に主の自室へと向かった。

鼓動のおと。紅黒いしずく。

──デビルズパレス 自室──

『さて。主様。今夜は長い夜になりそうです。何か飲まれますか?ベリアンさんから聞いた話によると、カモミールティーがリラックス効果があっていいそうですよ?』

ラトは主をベットに座らせるとそう聞いてきたが、主との手は繋がれたままであった。

『あの・・・ラト。手を放してほしいんだけど・・・』
『あぁ。そうでしたね。でもこの方が自分は安心できます。先ほども言いましたが・・・私は綺麗なモノや自分の特別なモノが壊れるトコロは見たくありません』
『・・・いつもは壊したいって言ってくるのに・・・』

そう言って主は、自由になっている左手首に視線を移した。

『そうですね・・・。私は美しいモノをぐちゃぐちゃに壊すのが好きです。恐怖や絶望、その瞬間しかない表情を見るのが気に入っています。それは私が他人に行う行為だからであって、該当する本人がやったところで何の関心もありません』

先程と違い、その紅は流れ落ちるスピードを落としたモノはドロドロとした黒い粘度のある液体になり肌に付着している。

『・・・汚いな・・・』
主は自分の左腕を上にあげ自分の手首を眺めた。
『主様は汚くなんかありません。むしろ、私には美しく見えます』
『でも・・・今日ラトが見た通り。私壊れちゃってるから・・・』
『主様は壊れていません。私はありのままの主様が気に入っています』
そう言ってラトは主の髪を優しく撫でる。

『ラトにとってはコレが普通?』
『普通と言うのが私にはよく分かりませんが・・・。先ほどの主様の言葉について考えていました。血液を見ると安心すると仰っていました。ですので・・・』

ラトは主からゆっくり手を離すと、自分自身の腕を切って見せた。



『コレで、安心できますか?』
『ラ・・・ラト!?』
『主様の気持ちになって、考えてみました』

その傷は包帯を紅く染め、次第にその雫は床に落ちて小さなシミを作っていく。

『ちょっと!!何してるの!?早く手当しなくちゃ!!』
『主様。慌てなくても大丈夫ですよ。切るトコロをちゃんと考えています。私の使命は主様をお守りする事ですから』
『・・・っ。そういう問題じゃないでしょ?どうしよう・・・私のせいで・・・っ』

ラトは落ち着いた口調で話していたが、主は焦って目には涙が浮かんでいた。

『主様・・・。落ち着いてください・・・』

慌てる主をそっと抱きしめるラト。

『こんな事してる場合じゃないでしょ!?痛いでしょ!?早く止血しなきゃ・・・っ!!』
『主様・・・大丈夫ですから。じっとしていて下さい。人のぬくもりと言うのは、人を安心させる効果があると言います』
『・・・』

少し時間が経って、ラトが静かに口を開く

『ねぇ。主様。私の心臓の鼓動が聴こえますか?』
『ん・・・』
主はラトの胸の中で小さく頷いた。

『鼓動の音は心臓が動いている音です。生きているという証拠でもあります』

ラトは小さな子供に絵本を読み聞かせる様にゆっくり話す。

『主様は血液を見ると落ち着くと言いました。だけど、それは他人の血液では駄目な様です。なぜでしょう?』
『・・・』
『痛み。紅い血液。血液が流れる温かさ。違和感・・・。私の憶測になってしまいますが、主様は自分の中にある温かさを感じたかったのではないでしょうか?』
『自分の中にある温かさ?』
『主様は優しい人間です。優しい人間ほど、知らず知らずのうちに傷ついてしまいます。誰にも頼れない虚しさを感じた時に、ご自分の温かさを感じたくなるのではないでしょうか?これは単なる私の憶測です』

『私はそんなに優しい人間じゃないよ・・・』
『私から見れば主様は充分すぎるくらい優しい人間です。私でしたら、自分を傷つけるよりは相手を傷つけますから・・・』
ラトは楽しそうにクスクスと笑った。

『さて、戯言はここまでにしましょう。私は、主様には幸せになってもらいたいと思っています』
『・・・幸せに・・・』
『はい。その行為が主様の幸せになるのでしたら私は止めません。どんな主様でも否定しません』

そう言ってラトは主の傷ついた手首を手にとり、自分の頬に当てると、頬に紅黒い色が付く。

『主様は今日も良く頑張りました。主様が人一倍頑張って、傷ついて。それでも頑張って生きている。その姿はとても美しいと思います』
『ラト・・・』
『私はいつ死んでもいいと思っています。でも、主様がいてくれるなら生きていてもいいなって最近思うのです。それでも、もし、壊れたい時があったらお申し付けください。私はいつでも主様の味方ですよ?』

狂気と愛情

『あれ・・・?ラト・・・?私・・・いつの間にか寝ちゃってたのかな?』
主はラトの姿を探したが、自室の中にはいないようだった。

ベットから起き上がろうとしたときに手に当たったモノがあった。
『これって、ラトの武器?って、こんなに重いんだ・・・』
その武器は小さかったが、かなりの重さだった。

──あ・・・なんか・・・切りたい・・・かも──

そうして、主がラトの武器を手首に当てた時だった。

『駄目ですよ。主様』
主の耳元でラトの声がした。
『!?』
『1本無いなと思ったら、主様のお部屋に忘れていたんですね。そして・・・』

そうラトは言って、主をベットの上に押し倒した。
『一体何をしようとしてたんですか?』
『・・・っ』

両手首をラトに押さえられていて動けない主。
『えっと・・・ラトの武器って凄いなって・・・』
『私は嘘は嫌いですよ?』
『・・・』
『もし、それだけだったら見てるだけで良かったハズです』

そう言ってラトは主が持っていた武器を取り上げた。

『全く。主様は油断も隙もありませんね。まぁ、衝動と欲望に駆られて本能のまま貪欲に生きる・・・そう言うところも気に入ってるのですが・・・』
『?』
『目を離すと、少々危なっかしい主様ですね。これは、私の傍にずっといてもらうしかありません・・・』
『それは・・・ラトも一緒じゃないの?』
『おや?主様は、この体勢でそれを言うんですね?』

ラトはそっと主の首に手をかける

『主様は嫌がらないんですね』
『・・・別に嫌じゃないから・・・』
『逃げないんですか?今なら逃げられますよ?』
『ラトだから・・・』

ラトはその言葉を聞いて嬉しそうに笑うと手に力を込めた。

『・・・』
『・・・フフッ。主様は私によく似ていますね。今、主様の瞳に映っているのは私だけです。こういう時って・・・そうそう。"誰にも横取りはさせたくない"と言う感情なのでしょうね』

そう言ってラトは手をの力を緩めると、主は激しく咳込んだ。

『すいません。主様が素敵で、つい力が入りすぎてしまいました。ミヤジ先生に知られたら確実に怒られるでしょうね』

息をするのがやっとな主の背中をさすりながらラトは

『ご安心ください。私は主様を傷つけません。そして、誰にも傷つけさせませんよ?私の大切な主様ですから。ずっと一緒にいましょうね。主様?私の瞳が離れるトコロにいたら駄目ですよ?』
耳元で優しく囁いた。

おまけヾ(・ω・*)

今回もラトのお話を語ってみましたが・・・。
楽しんでいただけたでしょうか(/ω\)♡

リアルこっちの世界にいたら・・・手を握って欲しい・・・。
そんな妄想が膨らむ、ゆいなです♪

このお話を書くきっかけになったのは『ミヤジィとルカスの過去(憶測)』と『ラトの暗い話』どっちかがイイ?
と友達に聞いたところ『ラト!!』と答えてくれたので一気に書いてみました♪

でも・・・一番病んでるの

主様じゃね?
と最後になってしまったのは内緒(/ω\)

でも、ラトってまともな事を言うから好きなんですよね♪
最後まで読んで下さってありがとうございました☆ゆいなでした♪

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