【あくねこ】主様、お誕生日おめでとうございます【SS 2階編】
こんにちわ(。・ω・)ノ゙ゆいなです☆
今日は『1階の執事たち』に続いて、『2階の執事たち』のを話を書いていこうと思います♪
主様Haapy Birth Day☆ 2階の執事達の場合。
私が指輪を付け、屋敷に帰ると2階の執事達は待ち構えてたように4人そろって私の近くに来た。
『主様。今日も一日お疲れ様です。今日は主様のお誕生日だという事で2階の執事一同、お祝いの言葉を伝えに参りました』
ハウレスが改まって言った。
『あー・・・ハウレスはいつも堅苦しいんだよ・・・・。めんどくせぇやつだなぁ』
ボスキが長い髪を触りながら言う。
『おい。ボスキ。主様の誕生日なのにその言い方はないだろう?』
ハウレスがその言葉を聞き条件反射で返す。
『まぁまぁ・・二人とも。ここは喧嘩をしてる場合じゃないんじゃないんすかー?主様も困ってるっすよ?』
アモンはいつもの調子だ。
『そうそう。二人とも。主様は日頃、お忙しいのに屋敷に来てくださってるのだから。今日くらいはちゃんとしようよ』
『フェネスさんの言う通りっすよー?じゃないと、一番年下のオレがお祝い先に言っちゃうっすよ?』
『アモンはまた煽るようなことを言って・・・。こういう時は、皆で伝えればいいんじゃないの?』
フェネスが優しく言う。
『じゃぁ、せーの!でいくっすよー?』
『せーの!!』
『主様お誕生日おめでとうございますっ!!』
2階の執事たち全員の声が屋敷に響く。
『わぁ・・・。ありがとう。すっかり忘れてたよ・・・』
『まぁ・・・主様は忙しいから仕方がないな。そのための俺がいるようなもんだしな』
ボスキはからかってそう言った。
『主様。お疲れでしょうから、自室でお休みになってください。今日は主様のお誕生日です。俺たち2階の執事のせいで疲れさせてしまっては申し訳ありません』
『そぉっすねー。元気な主様が一番すっから♪』
ハウレスに続きアモンが答えた。
『みんな有難う。少ししたら、また戻ってくるね』
そう言って私は自室に戻る事にした。
『命よりも大切なモノ』 ハウレスの場合
──コンコン──
自室のドアが叩かれる。
『主様。今大丈夫ですか?』
『うん。大丈夫だよ』
そう言ってハウレスが部屋の中に入ってくる。
『なんかあったの?』
『今日は主様のお誕生日という事で、改めてお祝いの言葉を伝えに来ました』
『えっと・・・ありがとう』
さっきもお祝いの言葉をかけてもらったし、改めて・・・と言われてしまうとどうしていいのか分からなくなってしまう。
『突然ですけど、主様はピアスの穴ってあいてますか?』
『?』
『いえ・・・。自分は主様の執事。主様の事は全て分かっていると思っていたのですが、主様がピアスの穴が開いているかどうかと言うのを忘れてしまいまして・・・。これじゃあ執事失格ですよね・・・』
ハウレスは申し訳ない顔をしている。
『そっ・・・そんな。ピアスの穴くらいで落ち込まなくても・・・』
『いや、主様の事は全て理解しておきたいんです』
そう言うと、ハウレスは小さなため息をついた。
全てを理解しておきたいって、なんかちょっと恥ずかしい・・・。
本人には言えないけど。
『主様のお誕生日なのに、ため息をついて申し訳ありません。ですが、どうしても思い出せなくて。気になって仕方がないんです』
完璧主義者のハウレスだから、きっと一つの事が気になると何も手に付かなくなってしまっているんだろうと予測がつく。
『ピアスの穴あいてるよ』
『本当ですか!?』
『えっと・・・駄目・・・だったのかな?』
『いいえ。用意していたものが主様にピッタリで良かったです』
ハウレスは笑顔になった。
『用意していたモノ?』
『はい。こちらでございます』
白い小さな箱にはリボンがかかっている。
『これって・・・』
『今日は主様のお誕生日ですので、準備させていただきました』
そう言ってハウレスは、テーブルの上に静かに箱を置いた。
『主様。開けてみて下さい』
『えっと・・・。有難う』
突然の事だったので、びっくりしたが箱を手に取り開けてみる。
『わぁ・・・』
中には綺麗なピアスが入っていた。
『主様に似合うと思って選んでみました。俺は不器用なので・・・。その・・・手作りとか苦手で。申し訳ありません』
『ううん。ハウレス、有難う。とっても嬉しいよ』
『主様に喜んでいただけて光栄です』
ハウレスは嬉しそうに笑った。
『俺はこの命に代えても主様をお守りするので、安心してください』
ハウレスは真面目な顔をしてそう言う。
『ねぇ・・・。ハウレス。もしよかったら、なんだけど・・・』
『なんでしょう?主様』
『このピアス。片方持っていてくれないかな?』
『何故ですか?』
ハウレスは驚いたような顔をする。
『このピアスって2個で1個のセットでしょ?だから、片方持っていてもらえればハウレスのお守りになるかな?って。折角のプレゼントを返す訳じゃないんだけど。ハウレスが天使で怪我をしたり、いなくなっちゃうのは嫌だなって・・・』
『主様・・・』
『えっと・・・。ハウレスが嫌じゃなければの話だよ?』
ハウレスはクスっと笑うと、片方のピアスを自分の耳に着ける。
『えっと・・・似合ってるでしょうか?』
『うん♪似合ってるよ』
『これで、俺は命に代えると言う言葉は簡単に使えなくなってしまいましたね』
ハウレスは少し困ったように笑った。
『元々、簡単には使ってはいけない言葉なんだよ。ハウレスがいなくなったら、執事のみんなが悲しむし、私も・・・』
『主様。今日は主様のお誕生日です。真面目な話はこの辺で、止めておきましょう』
『・・・うん』
『俺は完璧にこだわる癖があります。主様のピアスが無いと完璧とは言えません』
私は残った一つのピアスに手を伸ばし耳に着ける。
『似合ってるかな?』
『とてもよくお似合いですよ。今日は本当にお誕生日おめでとうございます』
ハウレスが着けているピアスが光を反射させ、キラキラ輝いていた。
『本の中の少女』 フェネスの場合
自室のドアがノックされ
『主様、今よろしいでしょうか?』
とフェネスの声がした。
『大丈夫だよ。入って』
『主様。失礼いたします』
フェネスは本を何冊か手に持ち部屋に入ってきた。
フェネスは私の好きな物語を理解してくれ、オススメの本を教えてくれる。
『主様。先日のご紹介した本はいかがでしたか?』
私は読み切った本を本棚から出してくる。
『とっても良かったよ~。主人公の女の子が最後に幸せになったのが本当に良かった。あのままだったら、報われないなって考えていたの』
本のタイトルを指先で優しくなぞる。
『主様のお好みの本で良かったです。俺もその本は何度も読み返しました。主様は、どうしてその主人公が逆境にも負けずに強く生きれたのだと思いますか?』
『幼少期に出会った人に、言葉の魔法をかけてもらったから。って個人的に考えてるの』
『言葉の魔法ですか?』
『金色の薔薇の髪飾りを貰う時に「貴方は必ず幸せになれる。自分自身を信じなさい」って言われたじゃない?それから、主人公はずっとその髪飾りを付けていて。その言葉を信じ抜けたんだと思うの。人間はよく忘れる生き物だから、大切な事を忘れちゃうと思うの。薔薇の髪飾りがあったから忘れそうになっても、思い出せたんだと考えるの』
『なるほど・・・』
フェネスは納得したようにうなずく。
『フェネスはどう思ったの?』
私はフェネスの考えが気になって尋ねた。
『俺ですか・・・?主様と考えは近いのですが。少女はもともと、そう言う素質があったからではないのか?と考えていました』
『素質・・・』
『そして、その髪飾りが潜在意識を覚醒させる助けになっていた。と・・・。そう考えていたのですが。主様の考えを否定している訳ではありません。気分を害したら申し訳ありません』
フェネスは自分の意見に自信がなさそうに答える。
『気分を害するだなんて。そんな事、思ってないよ』
『・・・本当ですか?』
『自分の持っていない視点のお話が聞けるっていい事だと思うんだよね』
私はフェネスを見て、笑顔になる。
『・・・っ。なんか、すいません。こう言うの慣れてなくて。自分の考えを言って、肯定される経験ってあまりないので』
フェネスの顔が赤くなった。
『そんな・・・私は思った事を言っただけで・・・』
『主様は本当に素敵な方ですね。一緒にいるだけで、周りの人を幸せにできる』
『そっ・・・そんな事・・・』
『俺はそんな主様の事を支えられて幸せですよ』
そう言って、フェネスはポケットから小さな包み紙を私の前に差し出した。
『主様。今日はお誕生日おめでとうございます。ささやかですが、主様にプレゼントをご用意しました。コチラを受け取ってください。あ・・・主様が気に入るかは分からないのですが』
『開けてもいいの?』
『もちろんです』
私は包み紙を丁寧に開ける。
中から出てきたのは、フェネスが貸してくれた本の中で主人公が身に着けていた髪飾りによく似ていた。
『コレって、この本にあった挿絵の髪飾りにそっくりっ!!』
『フフフっ。気づいていただけましたか?主様ならきっと、気づいてくれると思っていました』
フェネスが嬉しそうに笑った。
私は本を手にして、挿絵があったページを探しだすとフェネスに見せた。
『凄いっ!!一緒だ!!』
私が好きなワンシーンだったので少し興奮気味に話す。
『主様には、この少女の様に幸せになってもらいたいのです。毎日色々大変な事があるとは思います。でも、主様はこの主人公の少女の様に強い力をお持ちだと考えています』
『・・・』
『そのっ・・・。髪飾りを見て俺がいつも主様の幸せを願っている事を忘れないでいてくれたら、いいなと・・・』
フェネスはそっと髪飾りを手に取ると私の髪に飾ってくれた。
『主様が、辛い時。悲しい時。支えになりたいと思っています』
『・・・ありがとう。フェネス』
『主様。お誕生日おめでとうごさいます。確か本の中の主人公も、誕生日の日に髪飾りを貰っていましたよね?今日は、主様が主人公の日です。沢山笑って、幸せな一日にしましょう』
フェネスがそう言って、私が開いた本を静かに閉じた。
『花の香りと主様』 アモンの場合
──デビルズパレス 庭園──
『あれ?主様?今日もここにきたんすね』
アモンが私の事を見つけ、話しかけてきた。
『ココにくると落ち着くからね』
『主様も花が好きで良かったっすよ♪』
『アモンがお手入をしているから、素敵なお花が咲くんだろうね』
『まぁ・・・。オレのこだわりみたいなもんすからね~』
そう言いながらアモンは、近くに咲いていた花を集め始めた。
『何かに使うの?』
『折角主様が来てくれてるんすよ~?それに、今日は主様の誕生日じゃないですか』
『私の誕生日とお花が何か関係あるの?』
『まぁまぁ。こっちに来てくださいっす』
庭園には小さな椅子とテーブルがあり、休憩できるようになっている。
アモンはそこに私を連れて行った。
『?』
『早速ですが主様。ここに座ってくださいっす』
アモンが椅子を引いて私が座るのを待っている。
『変な事しないよね?』
『するワケないじゃないっすか・・・。主様は大切な人なんすよ?そのくらいわきまえてるっすよ・・・』
突然の事だったので訳もなく疑っていしまい、嫌な気分にさせちゃったかな?と心配になったけど、アモンは笑顔で
『さぁ、主様。ココにある花で好きな香りのモノを選んでくださいっす!!』
さっき集めてきた花をテーブルに並べ始めた。
『こんなに沢山っ!?』
『屋敷に咲いている花全部じゃないっすけど』
『本当に凄い本数だね。でもどうして急に?』
『それは・・・まだ秘密っすね~』
アモンがニヤッと笑う。
『うーん・・・気になる・・・』
『主様、早くしないと日が暮れちゃうっすよ?』
『・・・分かった』
何が目的なのかは分からないけど私はアモンが並べてくれた花を一輪ずつ試していくことにした。
『えっと・・・どれもいい香りなんだけど・・・』
『それじゃ、参考にならないっす・・・』
と残念そうな顔をアモンがする。
『参考?』
『・・・まぁ。隠していてもしょうがないっすね』
『?』
『今日は主様の誕生日じゃないっすか。なので、オレ考えたんすよね。自分の得意分野をプレゼントして喜んでもらおうって。それで、試してもらっていたんっすよ』
『香りを?』
『・・・もしかして、主様って凄く鈍感なんすか?』
『・・・天然とは言われる事はあるけど・・・』
『まぁ、いいっす♪で、本題なんすけど・・・。主様、腕を出してもらってもいいっすか?』
『こう?』
私はアモンの前に腕を出す。
『ちょっと失礼しますね』
そう言ってスプレーで何かをかけた。
その瞬間ふわりと甘くて、清々しい香りが漂う。
『香水?』
『正解っす♪主様に香水を使う習慣があるのか分からなかったし、どんな香りが好きなのかも分からなかったっすから。色々試してもらっていたワケっすよ』
私は腕を自分の近くに持っていき、香りをちゃんと確認してみる。
『きつくないし、とっても癒される香りだね』
『まぁ・・・主様が気に入ってくれればいいんすけど・・・』
アモンは少し不安そうな顔をした。
『アモンって凄いよね。私の好きな香り知ってて』
『因みに、その香水。何処にも売ってないっすよ』
『え?どうして?』
『俺が調合したってのもあるんすけど、主様の為に作った花があって。その香りなんすよ』
アモンは嬉しそうに話をした。
『その・・・お花は?』
『あぁ、まだ主様には見せないっすよ♪』
『少し気になったのに・・・』
『そうっすね~。主様と一緒に暮らせる事になったら、いつでも見せてあげられるんすけどねぇ・・・』
『・・・それはっ!!』
『じょーだんっすよ。まぁ、あれっすよ。主様が花でいいんじゃないんすか?』
『私が?』
『まぁ、主様は何も付けなくてもいい香りがするっすけどね♪コレは主様の誕生日プレゼントっす。香りは記憶に残ると言うっすから。付けたらオレ事を思い出してくれたらイイと・・・まぁ、気が向いたらでいいっすよ♪』
そう言ってアモンは小さな小瓶を私に手渡した。
『無くなったら言ってくださいっすね♪主様の為なら何度でも作るっすよ~。今日は誕生日おめでとっす』
そう言うとアモンはテーブルの上にある花を一輪選び、私の髪に花を飾ってくれた。
『不器用でイイんじゃねーの?』 ボスキの場合
屋敷を歩いていると、ボスキの声が聞こえる。
『あー。・・・うまくいかねぇもんだな・・・』
『どうしたの?』
私はボスキに声をかけた。
『あぁ。主様、今日誕生日だろ?』
『・・・うん』
『なんだよ。もっと喜ばねぇのかよ』
『まぁ、何回も誕生日迎えてるからね・・・。それに、そんなに皆におめでとうって言われた事ないから、どんな反応していいのか分からないって言うのもあるかなぁ・・・』
ボスキは笑って
『主様らしいって言ったら、主様らしいけどな。ほら、コレやるよ』
そう言って渡されたのは、不器用に結ばれたリボンの箱だった。
『俺は手が悪ぃからなぁ。コレでも俺なりに気をつかったつもりだが・・・。主様が喜ぶと良いんだけどな』
照れくさそうにボスキは自分の頭を触る。
『プレゼント?』
『ちっ・・・そこまで俺に言わせるのかよ』
『フフッ・・・ボスキらしい。あけてもいい?』
『かまわねーよ。なんなら、俺があけてやるが?』
『そっ・・。それだと、プレゼントにならないんじゃ・・・』
『なんだかんだで楽しみにしてるんじゃねーかよ』
私を見て笑う。
『ちょ・・・恥ずかしい事を言わないでよ』
私はそう言ってリボンを解く。
『まーなんだ?主様のイメージで作ってみたんだ』
中から出てきたのは、チョーカーだった。
『えっ!?ボスキが作ったの!?』
『なんだよ。意外か?』
『そうじゃなくて、手が大変だったかなって・・・』
そう言って私はボスキの義手を見る。
『あー?これか?まぁ、思い通りにはには動かねぇが、動かないわけじゃない』
そう言ってボスキは自分の義手を動かせて見せた。
『私は、そういうのになった事ないからボスキの気持ちがよく分からなくて・・・』
『ははっ。主様は優しすぎるんだよ。なった事がないモノを考えていても、自分の考えしか出てこねーと思うぞ?なっとたとしても、自分の考えだけだけどな』
『・・・でも・・・』
『主様は俺から言わせると、クソ真面目なんだよ。別に悪い意味で言っている訳じゃねーぞ?何事にも真剣に取り組めるのは才能でもあるしな。ただ、俺は主様には悩まずに過ごして欲しいとは思うがな・・・』
『ボスキ・・・』
ボスキは私の頭を軽く撫でる。
『まぁ、悪いと思えるようなコトでも、本人はそんなに悪くないと思っている事もあるぞ?』
『・・・』
『俺はこの手になっても、こうして生きている。それに、主様の髪を撫でる事だってできるんだしな。人からどう思われようが、自分の人生だ。主様の好きなように生きられると良いな』
ボスキはそう言うと、小さく息を吸い込んで
『まぁ、誕生日だから真面目な事を話すが。主様が自分で不器用だと思っている事も俺からしてみれば、才能であったり、器用に見えているもんだ。だから、自信を持て。と言ってもすぐには無理だろうから、俺が褒めてやるよ。いい誕生日だろ?』
その言葉で私はクスっと笑う。
屋敷の外は薄暗くなってきて、空が薄紫色に染まっていた。
おまけヾ(・ω・*)
よくよく考えたら2階の執事さん達は『4人』でした!!
少々長くお時間を頂いてしまったのですが、2階の執事さん達のプレゼント内容はこんな感じです。
ハウレス→ピアス いつでもあなたの事を見守っています
フェネス→髪飾り あなただけの為に選びました
アモン→香水 独占欲
ボスキ→チョーカー ずっと一緒 誰にも渡さない
と言う意味がありますヾ(・ω・*)
残すところ3階の執事さんだけになりました♪
では最後に、私から『主様、お誕生日おめでとうございます♪』
読んで下さって有難うございました♪
ゆいなでした☆
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